その美しさは地元の人々の努力のたまもの

 その基準は4分野(1水質、2環境マネジメント、3安全性・サービス、4環境教育と情報)、33項目からなります。この基準を毎年申請して、クリアしなくてはなりません。

 若狭和田ビーチは、認定を受ける以前から地元住民が「浜そうじ」を定期的に行い、海水浴客も参加するビーチクリーンも月一回開催。そのため、水質検査は最高基準のAA。大きな川が流入していないので、透明度もバツグンです。

 小さい子供からお年寄り、車イスでも快適に過ごせるよう、バリアフリーのシャワー室やトイレなどの施設を完備。キャンプやバーベキュー、ペットの連れ込みも、エリアが分けられています。

 水難救助員が海から、ライフセーバーが浜から、海水浴客の安全を見守っています。さらに、海の生き物観察やビーチコーミング、水の環境教育など、誰もが学べる海でもあります。

 若狭和田ビーチがブルーフラッグを取得し続けているのは、もともとの美しさのみならず、地元の人々の努力のたまもの。海を大切に守ろうという意識が、根付いているのでしょう。

 また、高浜は大正時代から夏の保養地として観光客を誘致し、民宿数・日本一だったこともあったとか。

 若狭和田ビーチから内陸に向かった和田地区は、細い路地が入り組み、当時の風情が残されています。

 「和田の散歩道」という小さな石柱が建てられた路地は、かつての細長い船を海へ運ぶための道幅しかありません。軽自動車で走るのがギリギリの幅。それこそ、慣れていないと車体をこすってしまいそう。

 住んでいる人も時折、「どこの道から入るんだっけ?」と頭の中がこんがらがるほどの迷路っぷり。道路の脇にお地蔵さん、見上げれば蔵や瓦屋根の家並み、小さな畑など、路地を曲がるたびに発見があります。

2022.05.21(土)
文・撮影=古関千恵子