ガマンするのは美徳じゃない!?

 多くの女性を悩ませている頭痛。人によって痛みや原因、対策はいろいろ。自分の頭痛がどのタイプなのかを理解し、頭痛を起こさない方法や痛みを軽減するコツをマスターしておけば、ガマンする生活とサヨナラできます。今回は頭痛外来の先生にお話しを伺いました。

» 第2回 頭痛を起こさない暮らし方
» 第3回 アロマの香りで頭痛から身を守る

仕事のデキる女性に多い片頭痛

「僕のいる頭痛外来には多い日で約300人の患者さんがやってきますが、そのうちの約8割は女性です」

 と話す清水俊彦先生。頭痛は大きく分けると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があり、命に直接関わることはないものの、多くの人を悩ませているのが一次性頭痛、つまり慢性頭痛だ。

「慢性頭痛の中でも特に女性に多いのが片頭痛。外部からの刺激によってセロトニンと呼ばれる脳内物質が血管内で異常に増減し、その結果、脳の血管が広がって血管の周囲にある三叉神経が圧迫され、痛みが引き起こされる頭痛です。片頭痛の人は非常に敏感な脳の持ち主。頭がよくて真面目で、何事にも集中して取り組む人が多い。つまり、仕事がデキる女性に片頭痛持ちが多いということです」

暮らし方を工夫すれば予防&改善も可能!

 片頭痛が女性に多い理由は、卵巣から分泌される女性ホルモンのバイオリズムを脳が感じて痛みに変えるためだとか。そのため、女性ホルモンの分泌が活発な20~40代に生理前や排卵期の頭痛を訴える人が多い。

「以前は、女性ホルモンの分泌が減少する年齢になると片頭痛は軽くなるといわれていましたが、脳が過敏な状態は変わらず、頭痛がめまいや耳鳴りなど別の症状に変化するだけだということがわかってきました。それが『脳過敏症候群』です。だったら、早い段階で痛みのもとである三叉神経に直接働きかける処方薬・トリプタン製剤を使って治療した方が暮らしの質は上げられます」

 痛みをガマンするのは決して美徳ではない、と清水先生。

「大切なのは治療や予防で痛みをコントロールすること。2つ以上の誘因が重なると痛みが発症することが多い片頭痛なら、頭痛を招きやすい生理前には血管拡張作用のあるチョコレートは控える。肩や背中の筋肉のこわばりからくる緊張型頭痛なら、日頃からストレッチなどでからだを動かすようにする。頭痛を予防するため心がけるべきことはいろいろあります。ただし、それもまずは脳の安全を確保してからの話。危険な病気が潜んでいる場合もある。一度は専門医で診てもらうことをおすすめします」

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2013.09.01(日)
text:Miho Katsuki
photographs:Hirofumi Kamaya
illustration:Yoshiko Saito
supervision:Toshihiko Shimizu

CREA 2013年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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