じゃぶじゃぶ川を渡って、腹ばいに進んで。鍾乳洞を体感
今回のコースは約1キロ、所要時間約2時間。ジャングルのケイブ入口からエントリーします。リアル・ダンジョンの始まりです。
透明度の高い地下河川へじゃぶじゃぶと侵入。鍾乳石のはじまりの細い「ストロー」、ストローが肥大した「つらら石」、つらら石から落ちた雫が堆積して立ち上がった「石筍(せきじゅん)」、上のつらら石と下の石筍がつながった「石柱」など、まずは鍾乳石の種類をレクチャー。40センチほどの石筍を調査したところ、4000年モノ! 頭や足で壊さないよう、細心の注意が必要です。
岩壁にキラキラと光る鉱物のようなものも見えます。これは、菌だそう。洞窟内は光が遮断されているので、植物は生えず、ここに暮らせる生物も限られた種のみ。そのひとつ、ドウクツエビを発見。
大當さんが「ヘッドライトを消してみましょう」。その言葉に従うと、自分の手の平さえ見えない、真の闇。自分が目を開いているのか、閉じているのかも、わからないほど!
かなり進んだ洞窟の奥に、土器が残されていました。徳之島のカムィヤキとグスク土器で、11~14世紀に持ち込まれたものだそう。当時、もちろん懐中電灯はなく、松明をたよりにここまで来て、万一、火が消えたら……そんなこと、考えただけで発狂しそうです。
溜り水に落ちる水滴で少しずつ大きくなるケイブパール、形がきれいに残ったキクメイシ(サンゴ)の化石など、陸では見られないお宝が地中に隠されていたとは。
そして唐突に冒険がやってきました。
カラダの幅ギリギリのフローストーン(水の流れで形成された岩)を腹ばいで抜けて、滑り落ちるように水の中へポチャン! フローストーンを滑るなんて、これまでの鍾乳洞では体験したことがありません。
そしてハイライトのリムストーンケイブに到着すると、「ちょっと待っていてくださいね」と大當さん。しばらくして「はい、どうぞ!」の声に振り向くと、この世のものとは思えない光景が。世界遺産の中国の黄龍のような、棚田が続いています。ところどころでライトアップされ、まるで地下帝国の宮殿のよう!
しかも、コロナ対策のため、1回のツアーでは1組のみ。1名から催行なので、この絶景を独占できるという贅沢さ!
2022.03.26(土)
文・撮影=古関千恵子