「現実にはありえないシーンを作り上げるのは楽しかった。絶対不可能なことが可能に見えるものに、僕らはお金を払って見に行きたいと思うものだ(笑)。『007』はその例のひとつだが、意外性があるとさらに良い。一見、強くはなさそうな人が実は優れたファイターだったとわかったりすると、ますます面白くなる」

 舞台俳優でもあり、映画監督、プロデューサーとしても活躍。コロナ禍のロックダウンの間はそれらから遠ざかることになったが、根っからのアーティストだけに、家にいながらも芸術に触れ続けた。

「詩を学んだし、ロシア語の勉強をしたよ。普段よりもっと料理もしたり、オンラインでバレエのレッスンも受け、体型を保つようにしたりした。でも、舞台が恋しくてたまらなかったね。早くまたステージに立ちたいよ」

 日常が戻りつつある今、その日はそう遠くないかもしれない。

Ralph Fiennes/1962年イギリス生まれ。『シンドラーのリスト』(93年)、『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)でオスカーにノミネートされる。ダニエル・クレイグ版『007』ではM役、『ハリー・ポッター』シリーズではヴォルデモート卿役を演じている。

INFORMATION

映画『キングスマン:ファースト・エージェント』
12月24日公開
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kingsman_fa

2022.01.05(水)
文=猿渡由紀