先進国の中で、一人当たりの果物消費量が最低水準と言われている日本。欧米諸国の3分の1程度とも言われているほど低い水準なのだとか。

 四季折々の景色を楽しむように、その月ごとに旬を迎える果物を楽しんでほしい。

 そんな思いを込めて、果物の恵みで私たちの生活を豊かにしてくれる日本橋 千疋屋総本店で提供されている旬のフルーツをご紹介します。

 2021年12月の果物は、昔から日本人の近くに寄り添い、国内で一番売れているフルーツの一つであるみかんです。

さまざまな効果が期待できる、冬の果物の代名詞

 さまざまな果物を販売している千疋屋総本店でも人気なのがみかん。ビタミンCが豊富で、肌荒れや風邪予防にも効果的なので、今の時季にぴったりなフルーツです。他にも便秘改善の作用があるペクチンや、高血圧や動脈硬化を予防する効果があるヘスペリジンも含まれています。

 みかんの大きな特徴といえば手軽さ。旬を迎える冬に「こたつでみかん」という言葉があるように、手で皮を剥くだけで食べることができる果物はみかんくらいなのではないでしょうか。

みかんのおいしさを再認識できる出島の華

 冬の風物詩であるみかんですが、年々出荷量、生産量とも減っているのが現実。そんな厳しい現状ではありますが、みかんの品質は上がっています。

 栽培方法も昔は路地で栽培されていましたが、現在はマルチ栽培と言って、樹木の下に白いシートを敷き、みかんを栽培する際の大敵と言われている雨水を弾くように工夫されています。

 また、白いシートは太陽の光を反射しやすいため、枝に覆われた樹の下部まで光を当てる効果もあり、そうすることで満遍なく光が行き届き、養分が多く作り出されるのです。たくさんの養分を蓄えた甘いみかんができやすくなります。

 千疋屋総本店で販売されているみかんのこだわりはバランス。糖度だけにこだわるのではなく、酸味と甘みのバランスが取れているかどうかを基準に選んでいるといいます。

 出荷量が激減している今、千疋屋総本店でも「みかんのおいしさを再認してほしい」という思いがあるのだとか。現在、店頭に並んでいるのは、温州みかんのブランドのひとつである出島の華(入荷状況により店頭に並ばないこともあります)。

 日本で一番高いみかんと言われている出島の華は厳密な基準によって定められます。糖度が14度以上ないと名乗ることができないのです。濃い紅色をしていて、皮が剥きにくいのがおいしい果実で一級品の証。うまみ成分であるアミノ酸類が他品種の同糖度のものより、50%も多いのも特徴のひとつです。

2021.12.25(土)
文=渡里友子
撮影=釜谷洋史