先進国の中で、一人当たりの果物消費量が最低水準と言われている日本。欧米諸国の3分の1程度とも言われているほど低い水準なのだとか。

 四季折々の景色を楽しむように、その月ごとに旬を迎える果物を楽しんでほしい。

 そんな思いを込めて、果物の恵みで私たちの生活を豊かにしてくれる日本橋 千疋屋総本店で提供されている旬のフルーツをご紹介します。

 第二回目となる2021年11月の果物は、栄養成分がぎっしりと詰まった、世界で愛されるりんごです。

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シャリシャリっとした食感と強い風味を楽しめる最古の果物

 りんごは人類が食した最古の果物で、起源は約8000年前とされています。日本では明治時代から栽培が始まり、みかんと並んで、日本人に最も多く食べられるフルーツなのだとか。

 歯応えの良さ、風味の強さが最大の魅力。りんごに含まれる豊富な有機酸が疲労回復を促進し、水溶性食物繊維のペクチンにはコレステロールの吸収抑制など、身近な存在の果実でありながら、多くの効果が期待できるのも特徴です。

季節によって歯応えや風味が異なる品種の特徴の違いを感じられる

 8月末から収穫ができるりんごは、収穫時期が遅ければ遅いほど食感がしっかりとしてきます。

 夏場に陳列されるつがるを始め、10月頃から販売されているふじなど、その季節ごとに食感や味わいが異なるさまざまな品種を楽しむことができるのもりんごならでは。

 落葉果実(夏から秋に果実を実らせ、秋冬になると落葉する果樹)であるりんごの栽培に適した環境は、寒暖差の激しいところ。夏は暑くて、冬は寒い場所が理想的です。

 千疋屋総本店で売られているりんごの8割以上がふじ。時季によって産地は異なり、長野県から始まって、12月頃になると青森県で栽培された品物が並びます。

 りんごの選定で大事にしているのが鮮度。りんごを指で弾いてみて高い音が出るものは新鮮さがある証拠と言われています。ジューシーさはもちろんですが、食感を楽しむ果物のため、ずっしりと重く、硬さがあるのも選ぶ際に大切にしているのだとか。

2021.11.15(月)
文=渡里友子
写真=釜谷洋史