今マンガの原作も手がけているんですけど、マンガのほうがよっぽど面白いと思います。マンガを嫌いな人ってあまりいないし、マンガって完全に「エンターテイメント」じゃないですか。でも小説やエッセイって、マンガに比べると娯楽とは言い切れないし、そもそもそこまで需要があるのかもわからない。出版社にしても、面白くなくても売れればいいという判断で出版を決めたのだと思います。
――第1弾の前書きで「文章など全く書いたことがない」と書かれていましたが、作文なども苦手だったのですか?
岩井 作文も全然書けませんでした。だいたい、ネタとTwitter以外の文章を書こうと思ったこともなかったし、自分で文章がうまいなんて思ったこともないです。澤部のほうがよほどたくさん本を読んでいるし、文章をつくるのもうまいと思いますよ。着眼点は僕のほうがあると思いますけど。
――エッセイもネタを書く感覚で書かれているのですか?
岩井 文章を書き上げたら頭の中で一度音読して、発声してもひっかからないように、というネタのリズムで書いています。僕、特にネタ帳とかもつけていなくて、思いつきでネタを一晩で書いたりするんですけど、それはエッセイも同じですね。日々普通に生活して、締め切りが来たら思い出してバーッと書く、という感じで。エッセイ1本だいたい3時間くらいで書き上げています。最近は締め切りにも少し余裕を持っていますけど、ネタもエッセイも締め切りがないと書けないというのは共通しています(笑)。
「文章がうまい人っぽく」書けてた第2弾
――第1弾に比べて文章がうまくなった、文章を書くのが楽しくなった、などの変化はご自身で感じますか?
岩井 相変わらず楽しくはないです(笑)。でも、少しは文章が上手になったと思います。第1弾は最初と最後のエッセイで文章力にだいぶ差がありますけど、第2弾はコツをつかんだので、そこは前作よりも「文章がうまい人っぽく」書けていると思います。
2021.10.12(火)
取材・構成=相澤洋美
撮影=山元茂樹/文藝春秋