兄弟らしい息ぴったりの掛け合いが魅力的な兄弟漫才師・ミキ。2019年春、東京に活動拠点を移してからの約2年間をおさめた初の書籍『MIKI OFFICIAL BOOK ミキ、兄弟、東京』が現在発売中だ。上京後、漫才師としてのみならず、バラエティ番組のMCやドラマへの出演、声優への挑戦など活躍の場をどんどん広げている。

 さらに、先に放送された『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』(TBS)で優勝。『ミキ漫 全国ツアー2021』もスタートし、漫才師としても成長し続ける2人に話を聞いた。


新刊は「師匠」である木村拓哉さんにも大好評

――書籍発売から少し経って、いろんな反響が届いているのではないですか?

昴生 この取材の前にロケをしてたんですけど、お店で隣に座っていた女の子2人が「買いました」って声をかけてくれて。「どのページがよかったですか?」って聞いたら「親子対談がよかった」って返してくれました。ちゃんと隅々まで読んでくれてて嬉しかったですね。

亜生 番組のスタッフさんも買ってくれていて、サインをお願いされました。

昴生 『秘密のケンミンSHOW極』(読売テレビ・日本テレビ系)のスタッフさんね。めっちゃ嬉しかった。周りの芸人仲間も食いついてくれています。

亜生 この前、ルミネ(theよしもと)でサインを書いてたら、粗品さん(霜降り明星)が寄ってきて。「なんなん、そんなん出してんの? くれや!」って言われたんで、「買えや!」って言い返しました。チラッと読んで、ええなぁとも言うてくれてましたね。

「台本あるんかな?って思うくらい、めっちゃかっこよかった!」

――お2人が師匠と呼んでいる木村拓哉さんにも、ラジオ『木村拓哉 Flow』(TOKYO FM)にゲスト出演した際にお渡しされたんですよね?

昴生 そうなんです! 僕らみたいなもんがおこがましいと思って、最初はサインを書かずに渡したんです。そうしたら、「なんでサインがないの?」って言われて。収録終わってから書かせてもらったら、木村さん、かっこよかったですよ。「これで僕のものになった」って言わはったんです。かっこいい! かっこよすぎる!

亜生 台本あるんかな?って思うくらい、めっちゃかっこよかった。

昴生 ほんまに大好きです!!

――ご両親の反応はいかがでしたか?

亜生 発売記念にオンラインイベントをやったんですけど、(ファンの方からの)ご両親は嬉しいだろうなっていうコメントに、おかんが「嬉しくありません」って返してました(笑)。いや、ほんまは嬉しいんですけどね。

昴生 正直になれない。そういうところがかわいいんです。

亜生 だって、何冊も送りましたもん。サインを書いた本をいっぱい送ったのに、それでもまだ足りひんって言うてました。

「昨年の『M-1』後、寝られへんようになりました(笑)。」

――タイトルに“東京”とあるように、上京後2年間の活動が収められた1冊ですが、発売以降も『よるのブランチ』(TBS)でのMCやドラマ出演、声優など、さらに活動の幅が広がっているように感じます。

昴生 漫才をやっていて、こんなにも仕事の幅が広がるのかっていうか。いろんな人がミキでやってみようと思って、興味を持って声をかけてもらえるのはありがたいですね。いつもとは違う体験なので、楽しいですし。

亜生 いろんなことをやらせてもらうのは新鮮ですよね。こうやっていろんなことができるのは今だけなんやろうなぁと思いながら、僕はやらせてもらってます。

昴生 たしかに、やれるときにやれることをやっておこうという気持ちはありますね。やるやらないっていう判断も、僕らははっきりとしている気がします。

――他人の意見は気にならないですか?

亜生 僕はめちゃくちゃ気にします!

昴生 亜生は気にしぃなんです(笑)。けど、僕は気にならない。ミキはもっとお笑い番組に出たほうがいいとか、漫才にもっと力を入れたほうがいいっていう意見もあるかもしれないですけど、僕らはやっていますから。自分たちでちゃんと漫才できてるっていう感覚があるならいいんじゃないかなって。他人にどうこう言われて(考え方が)ブレるようなら、この仕事をやめたほうがいいと思ってます。もちろん、マネージャーや両親、奥さん……身内の評価は気になりますけどね。

亜生 僕は全部気にしちゃいますけど、SNSにいろいろと書かれてるのを見るのは楽しいです。

昴生 けど、それ見たら寝られへんようになるんやろ?

亜生 昨年の『M-1』後、寝られへんようになりました(笑)。ネットに漫才中の動画があがってたんですけど、コメント欄がひどかったし、低評価もめちゃくちゃついてて。漫才してるだけなのにこんなに言われるんかって、めちゃくちゃ凹んだんです。

昴生 次の日会ったらSNSでめっちゃ叩かれてるって報告してきたから、「見んでええやん。ああいう人らは好きで書いてる人らで、書いたことなんかすぐ忘れるんやから気にせんでええ」って言うたんです。そしたら、「ありがとう」って返してきて……わけがわからん!

亜生 (笑)。ドラマとかに出て、(演技が)へたくそとか出てくるなって言われるのは楽しめるんです。けど、漫才で言われたら寝られへん。笑かしたくてやってるのに……。しかも、1年間がんばってきたことに対して、めちゃくちゃ言われるのはキツかったですね。

昴生 こういうところ、亜生っぽいなと思います。僕はよくも悪くも、人の言葉を信じない。褒められても疑ってかかってしまうから。

亜生 褒められたら喜んでるやん。お兄ちゃん、かっこつけすぎやわ。

昴生 もちろん嬉しいけど、間に受けすぎちゃうのはよくないなということです。コンビを組んだ頃は、人の言葉に一喜一憂してたんです。けど、どれだけ喜んでいてもまたすぐ次の仕事がやっていくるし、どれだけへこんでも何時間後にはまた同じような仕事をせなあかん。やから、人の意見に振り回されないという考え方に切り替えました。そうしてからは、喜ぶことも凹むこともなくなりました。

亜生 こう聞くと、お兄ちゃん、仕事楽しいんかなって思うけど?

昴生 たしかに(笑)。もちろん、劇場は別ですよ。笑いがそのまま評価になるじゃないですか。笑うか笑わんかはっきりしてる劇場は、やっぱりいちばん好きな場所ですね。

2021.07.24(土)
文=高本亜紀
撮影=榎本麻美(文藝春秋)