近い将来やってくると言われている首都直下地震や南海トラフ地震。

 もしワーキングタイムに災害が起こったら、あなたのオフィスは安全ですか?

 国際災害レスキューナースとして活動する辻直美さんに、今日から始められる“ポジティブ”なオフィス防災を教えていただきます。

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被災後も生活は続くから。前を向いて日常を取り戻す

 救助のタイムリミットとされるのは72時間。この間すべてのマンパワーやリソースは災害医療や人命救助に集中します。怪我もなく生き延びることができたなら、あとの自分のことは自分でなんとかするという意識を持ちたいところです。そのためにも、オフィスでの防災対策は事前にしっかり行っておきたいもの。

 また、災害が発生し、無事命の危機を脱したとしても、すぐに今までの日常が戻ってくるわけではありません。避難所はあくまで場所が提供されているだけ。行政がすべて助けてくれると思うのは間違いだと、国際災害レスキューナースとしてさまざまな被災地支援を行ってきた辻直美さんは言います。

「ぜひ考えてほしいのが、被災後のこと。被災した瞬間のことはみんなイメージできます。しかし、そこから新たな生活が始まるということを忘れています。完全な防災なんて、誰にもできません。少しでも被災リスクを減らす“減災”を心がけ、いち早く日常を取り戻すための努力が必要です」

 まずは自分が今いる環境をしっかりチェックし、決断力・想像力・アレンジ力を養って、明るくポジティブに減災対策! それが、“ツジナオ流”オフィス防災です。

2021.09.30(木)
取材・文=張替裕子(giraffe)