画面に大自然が広がる映画
『夢のアンデス』
![©Atacama Productions - ARTE France Cinéma - Sampek Productions - Market Chile/2019](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/1280wm/img_38b3275e83dc57c430ef6805106c1019579763.jpg)
南米ドキュメンタリーの巨匠、パトリシオ・グスマン監督の作品。
『光のノスタルジア』(2010)、『真珠のボタン』(2015)に続く本作は、人々の生活を一変させた1973年9月の軍事クーデター以降、新自由主義に覆われたチリの現状を収めたもの。
透徹した視点で綴られるその内容は、あたかも国の歴史を静かに眺めてきたチリ国境沿いにそびえる世界最長の山脈、アンデスが語っているようだ。胸がしめつけられるような作品だが、アンデスは雄大で美しい。
![©Atacama Productions - ARTE France Cinéma - Sampek Productions - Market Chile/2019](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/9/1280wm/img_c95ec6974044358dd82e28a81c0ef995562488.jpg)
『夢のアンデス』
監督・脚本:パトリシオ・グスマン
出演:フランシスコ・ガシトゥア、ビセンテ・ガハルド、パブロ・サラス、ホルヘ・バラディットほか
配給:アップリンク
2021年10月9日より岩波ホールほか全国順次ロードショー
https://www.uplink.co.jp/andes/
笑えて泣けて、心に訴えかけてくる映画
『ディナー・イン・アメリカ』
![©2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved.](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/1280wm/img_482cbd01416a096121f08a97e9d6e3db270954.jpg)
退屈な日々を送るパティ(エミリー・スケッグス)が唯一自分を解放できるのはパンクロックを聴いているとき。そんな彼女は、警察に追われているサイモン(カイル・ガルナー)を匿うことに。
境遇がまるで違う二人だが、次第に信頼関係を築くなかでパンクが共通項として浮上する。
ラブストーリーだが、同時にパティの自立物語でもあり、また現代アメリカ批判も織り込んでいる。作中、二人で制作する曲も最高。
![©2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved.](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/1280wm/img_134607251b9c9c488f49b7e107d3d2ed356967.jpg)
『ディナー・イン・アメリカ』
監督・脚本・編集:アダム・レーマイヤー
出演:カイル・ガルナー、エミリー・スケッグス、グリフィン・グラック、パット・ヒーリー、メアリー・リン・ライスカブ、リー・トンプソンほか
配給:ハーク
2021年9月24日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
https://hark3.com/dinner/
青野賢一(あおの・けんいち)
1968年生まれ。ビームス ディレクターズルーム クリエイティブディレクター。ファッション、音楽、映画、文学、美術などを論ずるライターとしても幅広く活動中。
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2021.09.14(火)
Text=Kenichi Aono
CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。