毎日の習慣である歯磨き。いつもと違う環境になる被災時には、なかなか思うようにできない場合があるようです。そこで、前もって準備するべきものや、避難所でのケア方法などをライオン オーラルケアマイスターの平野正徳さんにお聞きしました。


どうする? 災害時のオーラルケア

Q:災害時のための備品として、オーラルケア用品はどんなアイテムを用意しておくべきでしょうか?

A:使い慣れたものを用意しましょう

「歯ブラシには防災に特化しているものは特にありません。毛の硬さの好みなどには個人差がありますから、やはり普段使い慣れたものを準備するのがよいでしょう。

 アイテムとしては、歯磨き粉、歯ブラシ、フロスなどの歯間清掃グッズ、洗口剤があると安心です。例えば家族に子供がいる場合には、大人用のものは使いにくいので子供用の歯磨き粉もあるといいですね。また、義歯を使用している人は、ケースも準備しましょう」

Q:避難時、オーラルケアが思うようにできない場合、どんな不調につながる可能性がありますか?

A:口腔トラブルのみならず、感染症のリスクも高まります

「歯周病に代表される口腔トラブルなどが挙げられると思います。加えて、感染症のリスクも高まります。口腔内を清潔に保つことは、今の時期、特に気をつけたいですね」

Q:歯ブラシがない場合のオーラルケアを教えてください。

A:唾液を活用するのもひとつの方法です

「まずひとつめは、唾液を出すことを意識しましょう。唾液には、口の中や歯の汚れを洗い流す働きがあるからです。耳の下や頬、あごの下にある唾液腺をやさしくマッサージしたり、舌を上下左右などに動かすストレッチは、唾液の分泌を促します。また、ガムを噛んだり歌をうたうのも効果的です。

 次に、食事時に工夫すること。よく噛んで食べて唾液を出す、食後には舌で歯をなめるように掃除する、ペットボトルのキャップ1~2杯分の水やお茶でくちゅくちゅしながら洗い流すのもよいでしょう。ティッシュやハンカチなどで拭くのもおすすめです」

Q:歯ブラシがあっても水が少ないときはどうしたらいいでしょうか?

A:歯ブラシの汚れをふき取りながらケアを。洗口液の併用もおすすめ

「水が少なくても、歯ブラシで歯を磨くことがもっとも大切です。コップに少量の水を入れ、傾けて歯ブラシを濡らして磨きましょう。歯ブラシが汚れたらティッシュなどで汚れをふき取り、また磨く……を繰り返しましょう。最後に水で口をすすぎます。すすぎには、洗口液を使えば口臭予防にもなります」

2021.09.10(金)
文=増本紀子