俳優は、0から1を生み出せる仕事ではない

――吉沢さんの快進撃は誰もが知るところですが、作品や役に対する願望や欲求など、今感じていることはありますか?

吉沢 ありますけど、なかなか言えないです(笑)。でも、基本的には「これをやりたい」、「あれをやりたい」というよりは、お話をいただいて「面白そうだな」と思ったものをやっているんです。結局、僕が「これをやりたい」と言っても、周りが整わないと成立しないんですよね。

 俳優は、0から1を生み出せる仕事ではないし、周りの人が整ってようやく成り立つ仕事。なので、こちらで何かを作るというよりは、作っているものに参加させてもらっている気持ちのほうが強いんです。「こういう役をやりたい」という気持ちはありますけど、それもめぐり合わせかな、ぐらいに感じています。

――冒頭、「ヒーローか敵(ヴィラン)かと思った」というお話もありましたが、敵(ヴィラン)役への憧れみたいなものもお持ちですか?

吉沢 あります! それこそ死柄木(『ヒロアカ』に登場する悪役)とか、めっちゃかっこいいと思います。

 基本的に、どの作品でも敵(ヴィラン)は「なぜ悪になったのか」というバックボーンがあったり、そこに正義があるという筋書きがあったりしますけど、死柄木の場合はマジで純粋な悪。そうなってしまった背景があるにせよ、何かを貫きたくてやっているわけではなく、ただただ自分の好きなことをやって、笑って人を殺すような奴で。ただ、その純粋さにはどこか憧れるというか、「こういう役やりたい!」とは思うんです。改めて敵(ヴィラン)をやりたいと、すごく思いました。

――例えば、吉沢さんの中にも敵(ヴィラン)要素はあったりします? いうなれば“ワル吉沢”みたいなものですが。

吉沢 ワル吉沢、ありますよ(笑)。朝が、弱いんですよね。休みだと11時くらいまでは寝たい人なので、朝が早い仕事は、いまだに苦手な気持ちがちょっとあって。いつも家を出る5分前に起きて、歯だけ磨いて行く、みたいな感じになってます。

――ワルでもないですけど、改めたい習慣というところでしょうかね(笑)。

吉沢 もうちょい朝、余裕がほしいな、と思ったりしています。本当は40分前に起きて台本を読みながら、コーヒーとかを飲んじゃったりしたい。ちょっとゆったりしてから家を出てみたいんですけど、毎日予定が詰まってくると、なかなか。

――オフの日のリフレッシュでいうと、一番リラックスできる時間は何をしていることが多いですか?

吉沢 漫画ですかね。溜まっている漫画を読んだり、いろいろ探して新しい漫画を見つけたり。基本、僕、電子書籍で読んでいるから、そのサイトのおすすめ欄を読んだりして見つけます。

 「この作品すごく好きだな」と思う作品の関連から全然知らない作品を見つけるのが楽しいし、好きなんです。ジャンルで言えば、恋愛もの以外は結構読むかな。『ヒロアカ』みたいなバトルものも好きだし、ドロッとしたのも好きですし。

2021.08.07(土)
文=赤山恭子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=内山多加子(Commune)
スタイリング=荒木大輔