女性の宮務官が秋篠宮の世話をすることもありますし、男性の宮務官が紀子さまの仕事を受け持つこともあります。秋篠宮さまは、男性だからこの仕事、女性だからこの仕事と、最初から決めつけることはしないで、職員の適性や能力に応じて仕事を割り振ろうとしています。生物学的な男女の性の違いではなく、社会的、文化的に形成された男女の違いをジェンダーと呼びます。以前から、私は、秋篠宮さまがこのような社会的、文化的に形成された男女の違いについて違和感を覚え、改善に向けて努力をしたり、かなり意識的に発言しているように感じています。

 たとえば、2006年11月の会見で秋篠宮は、女性皇族の役割について「私たち(男性皇族)と同じで社会の要請を受けてそれが良いものであればその務めを果たしていく。そういうことだと思うんですね。これにつきましては、私は女性皇族、男性皇族という違いは全くないと思っております」と、発言しました。私は、会見でのこうした発言の背景にも秋篠宮さまの鋭い時代感覚を感じ取っています。

 19年秋の記者会見で秋篠宮は、新しい皇室像について「時代によって要請も変わってきます。ですからその時代時代に即した在り方というのは、常に考えていかなければいけないと思っています」と、述べています。女性の能力を積極的に評価しようとする秋篠宮さまの姿勢は、「ジェンダー平等を実現しよう」とする今の時代の流れに沿ったものだと思います。「時代時代に即した在り方というのは、常に考えていかなければいけない」という宮様が考える皇室のあり方と、重なるのではなかろうか、と私は考えております。

「大嘗祭を国費で賄うことが適当か」緻密なご意見

 宮様の「大嘗祭」について発言は、皆様の記憶に新しいことと思います。18年11月、誕生日会見でした。この時、宮様は天皇の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭」について、「国費で賄うことが適当かどうか」と発言し、大きく報道されました。

2021.08.01(日)
文=江森敬治