興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。

 もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。


①『アメリカン・ユートピア』は“祭り”である

 これほどまでにメジャーな作品をこの連載で取り上げるべきかどうか、かなり悩みました。デイヴィッド・バーンだしスパイク・リーだし。かなり露出されてたし。でもやっぱり紹介したい。尋常じゃないほど素晴らしい作品でした、本当に。

 作品としては、ひと言でいえば「ライブ映画」。2018年にバーンが発表したアルバム『アメリカン・ユートピア』(言うまでもなくこれも良い)を再構成した舞台があり、その映像化、映画化されたものがこの作品です。

 アンプやケーブルのない真っ新なステージで自由に動き回り、踊り、歌う、バーンやミュージシャンたち。当然ライブ映画なので、曲の演奏と曲間のバーンの語りが粛々と進行していくわけですが、素晴らしい音楽は当然として、活劇のようなエネルギーに満ちたダンス、照明・カメラワークを含めた幻想的な映像美。そう、そこはまさにユートピアのよう。

 上記の場面は映画の冒頭なのですが、あまりの完成度の高さに大序盤から落涙してしまいました。

 『アメリカン・ユートピア』は祭りである。そう高らかに宣言したいです。ハレの日にこの作品を見て、一緒に歌い、踊り、穢れを払う。そんな世界共通の祝祭になりうる映像だと思います。

 作中でバーンは、人が人に興味・関心を持つことの大切さ、ファッショの否定、多様性を受け入れることとそこに悩む個人、差別・人種問題、そして選挙などアクションを起こすことの重要性を問います。神託まで神格化するつもりはないですが、これはケの日常を過ごすにあたって私たちが考えるべき問いかけではないでしょうか。

 1年に1回でもいい。デイヴィット・バーンの誕生日の5月14日に『アメリカン・ユートピア』を観てハレの日の解放感、喜びを味わい、そしてケの日のための啓示を受けて日常へ戻る。世界は今すぐ記念日制定に向けて活動をすべきでしょう。ちなみに5月14日は僕の誕生日でもあります。だからといってこんなこと言っているわけじゃないですよ。

『アメリカン・ユートピア』

2021年5月28日(金)より全国ロードショー
監督:スパイク・リー
製作:デイヴィッド・バーン、スパイク・リー
配給:パルコ
2020年/アメリカ/英語/カラー/ビスタ/5.1ch/107分/原題:DAVID BYRNE’S AMERICAN UTOPIA/字幕監修:ピーター・バラカン
https://americanutopia-jpn.com/

②星野道夫の『想像の旅路』展

 アラスカの大自然、そしてそこに生きる動物や人々を愛した写真家・星野道夫。撮影中の不慮の事故により死を遂げ、25年という歳月が流れた今でも、彼の写真は多くの人々を魅了し続けています。

 星野氏のまなざしの先には、地球という営みの中で、人間がほかの生物とどう繋がって生きているのか、生かされているのか、そんな生命同士の根源的な関係性への問いがありました。その作品は美しく、静謐。現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれるものです。

 生前、星野氏の活動をサポートしてきたTHE NORTH FACE では2021年6月24日(木)から7月13日(火)の期間、『想像の旅路』と題して、星野氏の作品を展示するイベントを開催します。

 作品が展示されるのはTHE NORTH FACE Alter、THE NORTH FACE MOUNTAIN、THE NORTH FACE KIDSの3店舗。期間中は無料での開催となります。

 時代を超えて残る美しい自然の風景や、数々の神話へと向けられる愛おしい眼差しが感じられる星野氏の写真は「私たちはどこから来たのか?」と問いかけているかのように、私たちを想像の旅へと連れ出します。

 アウトドアアイテムの買い物のついでに覗いてみるのもおススメです。

『Journey to Imagination 想像の旅路』

開催店舗

・THE NORTH FACE Alter
東京都渋谷区神宮前6-10-9 原宿董友ビル 1F

・THE NORTH FACE Mountain
東京都渋谷区神宮前6-15-9 原宿ソフィアビル 1F

・THE NORTH FACE kids
東京都渋谷区神宮前6-15-9 グランディール神宮前 1F

https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/michio-hoshino/journey-to-imagination/

2021.07.08(木)
文=CREA編集部