「香港や中国、台湾の伝統的なお菓子や、オリエンタルな食材を使ったお菓子が並ぶ小さなお店ができている」

 そんな噂を耳にして、さっそく訪れたのが、JR西宮駅から徒歩2分のオリエンタルスイーツショップ「雪月菓」。

 うっかり通り過ぎてしまいそうな狭い間口。お店の奥の小さなショーケースには、台湾カステラや杏仁豆腐などがさりげなく並んでいます。

 店主・吉田昭さんのイチオシが「~極~杏仁豆富」。一見、見た目はシンプル。

 でも、一般的な杏仁霜(杏仁粉)ではなく、中国の北方で取れる香りの強い北杏(ペイシン)と南方産の甘くコクのある南杏(ナンシン)、2種類の杏の種の中にある仁を使って作る本格派。

 2つの杏仁の割合で風味や香りが違ってくるのだそう。

 さらに、寒天とゼラチンの両方を使うことで、なめらかでぷるんとした食感に。心地よい口溶けと杏仁の上品な香りにうっとり。また食べたくなるおいしさです。

 今、人気の「台湾カステラ」 にもこだわりがたっぷり。コクがあって赤色が強すぎない「夢美人」卵を兵庫・姫路から取り寄せています。

 「卵白にコシがありすぎると思う食感にならない」と吉田さん。油脂は、他の素材の持ち味を引き出す「太白胡麻油」。そして、最大のこだわりが、台湾産龍眼蜂蜜。

 「この蜂蜜に出逢い、その魅力を最大限に活かすことができるのが台湾カステラだと思った」とにっこり。

 「台湾カステラ‟‟fuwa SHUWARI”」とネーミングされたとおり、スライスして味わえば、ふんわり、しっとりしていて口の中でシュワシュワ。

 オーブントースターで軽く焼くと、香ばしくて表面はさっくり。冷やしても焼いても美味しいのです。

 さらに、吉田さんオススメの食べ方が、一晩寝かせた台湾カステラと「ライチ紅茶のベイクチーズ」ことバスク風チーズケーキを重ねてひと口で味わうスタイル。

 2つのお菓子の食感や芳香、コクが口の中でひとつになって、今までにない口福!

 台湾土産でおなじみの「パイナップルケーキ」にも、吉田さんは、よつ葉発酵バター、台湾産龍眼蜂蜜、きび砂糖、有機ココナッツフラワーなど厳選材料を使用。

 餡は台湾産パイナップル100%。5時間程炊いた餡を、丸く伸ばした生地に手包み。1個1個丸めて作られています。

 ほろほろと崩れる生地とジューシーな餡が一体となり、風味豊かでいてすっきりした味わい。台湾茶はもちろん、日本茶にも紅茶にもよく合います。

2021.06.13(日)
文・撮影=そおだよおこ