ちょっとした入り方のコツでプチ不調を解消する!
病院に行くほどではないけれど、何となく調子が悪いという“プチ不調”、誰にでもありますよね。入浴時、ちょっとしたコツをおさえておくだけで、プチ不調を解消し、心身の健康維持につなげることができます。
入浴法その(3):かぜ気味のとき
熱が出たときは、お風呂はNGだと決めつけていませんか? かぜ気味かも、というときに試してほしい入浴法もあります。
私たちの体には、自己回復力を高めたり、免疫細胞の活性を高めてくれるヒートショックプロテイン(HSP)というたんぱく質があります。このHSPはストレスが多く緊張しているときに増え、気が緩んだときに減る傾向があります。仕事納めで休みに入った途端にかぜをひくというのは、まさにこのパターンです。
このHSPを増やすためには、入浴の熱ストレスが効果的。具体的には、「40℃のお湯に20分」もしくは「41℃のお湯に15分」浸かりましょう。髪は洗わなくても大丈夫です。
ポイントは保温。お風呂上がりに、靴下、パジャマ、カーディガンをちょっと着込んで、10~15分ほど温まることが大事。
この入浴法は、かぜ気味の方だけでなく、平熱が35℃台という低体温の方にもおすすめです。
入浴法その(4):筋肉が疲れたとき
首の後ろを温めることのリラックス効果や眠気の効果も、さまざまな研究で明らかになっています。筋肉の疲れをとりたいときは、首までお湯に浸かると効果的。首の位置までお湯をためるのが難しい場合は、お湯で温めて絞った小さいハンドタオルを首の後ろにおいて、バスタブのフチに頭を預けましょう。
浸かり方としては、一気に首まで浸かる完全浴をするのではなく、息を「はぁー」と吐きながら、半身浴を。その後、息を吸って、「はぁー」と吐きながら全身浴を。また吸って、「はぁー」と吐きながら完全浴、の順番で、一呼吸ずつ整えながら、深く浸かることで、血圧の急上昇を防ぎます。
また、試していただきたいのが「フラット浴」。バスタブに頭を乗せてお尻を浮かしてみましょう。すると、浮力作用で全身の筋肉や関節を休ませることができ、力が抜けて気持ちがよくなります。単純に、お湯が深いほうが浮力を感じます。重力から解き放たれ、筋肉が緩むことで、リラックス効果は高くなります。
入浴法その(5):気持ちが不安定なとき
新型コロナの影響であれこれ悩んだり、生理前にイライラしたり、いろいろと考えて気持ちが不安定になってしまうこと、ありますよね。自己肯定感を高めるにもお風呂が一番です。
裸になって自分と向き合える場所は浴室だけ。お子さまがいたとしても、ぜひ自分だけのバスタイムをつくってください。湯船に浸かるだけでも副交感神経が優位になるので、幸せな気持ちになるはず。
ネガティブなことばかり思い浮かべ、あれもしなきゃ、これもしなきゃと考えると、交感神経が刺激されて良質な眠りが遠のいてしまいます。お風呂にゆっくり浸かり、今日あった楽しかったことや、自分の好きなことを口に出してみましょう。
いらないものはお湯に流してしまうつもりで、小さなことでも自分を褒め、気分を一新して眠りにつく習慣をつくること。頭がクリアになると、目覚めもすっきりしますよ。
毎日お風呂に入ると幸福度が高まる?
また近年、毎日お風呂に入る人には幸福度の高い人が多いということもわかってきています。温熱作用、浮力作用、水圧作用と入浴によって得られる作用はさまざまです。そしてプラスアルファの工夫で、眠りの質を高める方法もあります。入浴と睡眠は1セット。
血行促進など健康になることはもちろん、温かいお湯に浸かることは、心にもとてもよいことなのです。
2021.05.13(木)
文=大嶋律子(Giraffe)
イラスト=押本達希