まだまだ長引きそうなうおうち時間。インドア生活にとって動画配信サービスは欠かせない存在となりつつありますよね。とりわけ、日本の人気アニメシリーズなどは普段から観ているという人も多いことでしょう。
一方で、動画配信サービスでは海外アニメのラインナップも豊富なのですが、こうした作品は「絵柄に馴染みがない」と苦手意識を持たれがち。しかし、食わず嫌いをしていては勿体ない! 今回は、ブラックユーモアや社会風刺・社会通念の変化を巧みに取り入れた、オススメ海外アニメをご紹介します。
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風通しの良いジェンダー観で描かれる愛と戦いの魔法少女アニメ
◆『シーラとプリンセス戦士』(2018~2020年/Netflix)
本作は2018年に始まり、2020年に最終章第5シーズンが配信された魔法少女アニメです。魔法少女ものというと『ふたりはプリキュア』のように、子どもから大人まで楽しめるジャンルとして日本でも愛されてきました。今作もそれに匹敵するポテンシャルを秘めていると言いたいです。
制作は、2001年のアニメ映画『シュレック』でアカデミー長編アニメ賞を受賞したドリームワークス・アニメーション。可愛らしい絵柄で、日本人でも比較的馴染みやすいですよね。
舞台となるのは、エセリアと呼ばれる魔法が存在する惑星。エセリアを蹂躙せんとする悪の軍団ホードの士官候補生だった少女・アドーラは、ふとしたことで伝説の戦士・シーラに変身する能力を手に入れます。
本作は、1985~1987年にアメリカで放送されていた変身ヒロインアニメ『シーラ:プリンセス・オブ・パワー』のリメイク作品。
オリジナル版ではセクシーだった女性キャラや、マッチョに描かれていた男性キャラを等身大の少年少女にガラッと置き換え、さらに彼らを同性愛キャラや男女いずれかの性を選ばないノンバイナリーのキャラなどに再構築しています。そうしたキャラをわざとらしくなく“当たり前のこと”として物語上で扱っていることも、今作に比類なき風通しの良さを与えています。
『シーラとプリンセス戦士』が凄まじいのは、そんな作品外の要素にあぐらをかくことなく、物語がおもしろいところです。人々を救おうとするアドーラにのしかかるヒーローとしての重責、謎多きシーラの前任者、エセリアに隠された秘密、無数の伏線が集結する劇場版級のクライマックスは必見です。
筆者のイチオシキャラは、もう一人の主人公ともいえる猫耳獣人少女・キャトラです。幼馴染みであり親友だったアドーラとの繋がりだけが人生の輝きだった彼女が、アドーラへの愛ゆえに悪の道に転落していく様には号泣させられます。
◎あらすじ
『シーラとプリンセス戦士』
魔法が息づく惑星エセリア。ホード軍の士官候補生アドーラは、自分たちが惑星の支配を目論む悪の組織だと気づいてしまう。偶然にも伝説の戦士・シーラに変身する力を身につけた彼女は過酷な運命に身を投じてゆく。
2021.05.14(金)
文=TND幽介(A4studio)