花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。
花も「オフピーク」が狙い目。賢く買ってゴージャスな贈り物を
今年の母の日、5月9日(日)が近づいてきました。カーネーションを母の日に贈る習慣は、20世紀初頭にアメリカのある女性が亡き母をしのんでカーネーションを配ったことがきっかけで始まりました。
最近は母の日のプレゼントが多様化していますが、カーネーションで感謝を伝える正統派スタイルの魅力は、時代が変わっても色褪せないものです。
カーネーションというと、ギザギザの切れ込みが入ったフリル咲きのボリュームがあるタイプのものを思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はたくさんの種類があります。
たとえば一重咲きのものは、ナデシコに似て、凛とした清楚なイメージがあります。花自体も小ぶりなので、色々なアレンジに活用できます。
細く鋭い花びらが、はじけたような形をしていているものはスター咲きと呼ばれ、名前の通り星の輝きを思わせます。他の花にはない独特の形で、アレンジのポイントとして活用できます。
変わり種としては、カーネーションと同じナデシコ科ナデシコ属のてまり草があります。若栗のような見た目が愛らしいグリーンで、洋のアレンジにも和のアレンジにも引っ張りだこの人気者です。
そして、1995年に世界で初めて誕生した青いカーネーションのムーンダスト。青いバラが作られたことは有名な話ですが、青いカーネーションが作られたことは知らない方が多いのではないでしょうか?
バラと同じように本来カーネーションには青色色素は存在しませんが、遺伝子組み換え技術によって青色色素をもつムーンダストが誕生しました。紫に近いその深い色は上質の一言です。
一方カーネーション栽培の歴史はとても古く、古代ギリシャまで遡れるといいます。カーネーションがこのように永く愛される理由は、美しさはもちろんのこと、そのタフさにあるような気がします。
少しくらい花びらを触っても、茎が折れても、水が切れても、傷むことなく咲き続ける姿はとても頼もしいものです。
花屋さんに並ぶ何百という種類の花の中でもトップクラスに長持ちするカーネーション。上手に管理すれば、2週間程度かそれ以上も花を楽しむことができますよ。
次にカーネーションを新鮮なカーネーションの見分け方と、長持ちさせるコツをご紹介します。
2021.04.21(水)
文=佐藤俊輔