コロナ禍で気づいたのは、より心地よい空間に住みたいという欲求。整理され掃除がいき届いた部屋、目に優しい照明……さらに花があれば、自然が息づく潤いある空間に。
花とともに暮らすハウツーをフラワーデザイナーの佐藤俊輔さんに教えていただきました。5回にわたって特集、今回は最終回です。
» 「センス良くて長持ちさせる花の飾り方」篇
» 「フレッシュな花の買い方」篇
» 「いい花屋さんの見分け方」篇
» 「花束をオーダーするコツ」篇
» 「花束を長持ちさせる方法」篇
花屋さんは 花をキレイな状態に保つプロ
花に関する悩みで一番多いのはなんでしょうか? やはり、「買ってきた花をすぐ枯らしてしまう」ことだと思います。
では花屋さんで、枯れた花が飾られているのを見たことがあるかたはいるでしょうか? おそらく少ないでしょう。花屋さんは、花をデザインするプロであり、花をきれいな状態に保つプロでもあるのです。
花屋さんの仕入の話をしましたが、お店によっては週に一度だけ、決まった曜日に花を仕入れるお店があります。
それをキレイな状態で保存し、1週間、ときには2週間を超えて売るケースも。
このように花はちょっとしたコツを知っていれば、キレイな状態でキープすることができ、より長く楽しむことが可能です。
今回は、そのコツを皆さんにお伝えしたいと思います。
花にやる水の量は どのぐらい?
まず、花が枯れてしまう、水を吸い上げなくなってしまう原因の1つが水の汚れです。
水替えが行われずに、水の状態が悪くなるとバクテリアが繁殖し、そのバクテリアが茎の断面にとどまることで水を吸い上げる導管をふさぎ、花はしおれてしまいます。
茎をこまめに切ってあげると長持ちする、という話を聞いたことがあるかたはいませんか?
これは本当で、茎の先端を切ることでバクテリアに汚染されていない新しい茎の断面を作り、水を吸い上げやすくしているのです。
こまめに新しい水に取り換え、茎を切り、場合によっては漂白剤や延命剤を使用することで水を清潔に保つことが大切です。
第2弾で、雨水が花びらにかかることに注意が必要、とお伝えしましたが、花瓶の水も“やり過ぎ”に注意が必要です。
花瓶になみなみと水をはる人がいますが、たくさん水を吸わせたいからといって、たっぷりの水に生けるのがいいとは限りません。
深い水を好む花で代表的なのは、バラとアジサイです。この2種類は花瓶にたっぷりと水を注いで、鋭利なカッターナイフを使用し、切り口をできるだけ斜めにカットしましょう。
一方、ガーベラやダリアなど茎が柔らかく太い花は、水を吸い上げすぎてしまいがちですので、浅い水で、切り口も斜めではなくまっすぐ切って、花が吸う水の量を調整しましょう。
深い水浅を好む花なのか、浅い水を好む花なのか、どちらかわからない場合は、浅い水に生けましょう。茎が2~3センチつかる程度でOKです。浅すぎると感じるかもしれませんが、花のメカニズムからすると十分な量です。
2020.08.17(月)
文=佐藤俊輔
撮影=平松市聖