総製作費約98億円! 巨額を投じた珠玉の第二次世界大戦ドラマ

◆『バンド・オブ・ブラザース』(2001年/Amazon Prime Video)

 これまでご紹介してきた4作は近年の作品でしたが、最後にご紹介する『バンド・オブ・ブラザース』は少々毛色を変えまして、20年前の名作となっています。

 凄惨極まる第二次世界大戦の最前線を、詳細に作り込まれたセットや特撮・VFXで描き出した『バンド・オブ・ブラザース』。総製作費は2001年時点ではトップクラスの約1億2000万ドル、当時の日本円にして約98億円という驚愕のビッグバジェットが投入された大スケールのシリーズは、現在Prime Videoでレンタル・購入配信中です。

 本作の制作総指揮は、なんとあの巨匠スティーブン・スピルバーグと俳優のトム・ハンクスで、トム・ハンクスは第5話で監督も務めています。この黄金コンビといえば、1999年のアカデミー賞を席巻した1998年の傑作映画『プライベート・ライアン』が思い浮かぶ人も多いことでしょう。

 実際『バンド・オブ・ブラザース』にはスピルバーグ、ハンクスを筆頭に『プライベート・ライアン』を作り上げた多くのスタッフが参加しているため、映像や演出のスタイルも非常に近しいものに。後の戦争映画の様式を変えたとすら評される『プライベート・ライアン』に匹敵するクオリティのリアルな戦場描写が、毎話繰り広げられる非常に贅沢なドラマシリーズに仕上がっています。

 『バンド・オブ・ブラザース』のストーリーは、ヨーロッパ戦線でのアメリカ陸軍第101空挺師団、第506パラシュート歩兵連隊の第2大隊E中隊の訓練時代から終戦までの活躍を、部隊を指揮した実在の名将リチャード・ウィンターズを中心とした群像劇スタイルで描いたもの。ウィンターズの吹き替えは、当時声優初挑戦だった役所広司が演じています。

 後にアメリカ軍第2位の勲章である殊勲十字章を授与されることになるウィンターズ。上層部からの無理難題をさばきながら、彼のなかに部下の命を預かる“隊長”としての責務が芽生えてくる様や、彼の指揮下で死線をくぐり抜け、互いに命を預け合った戦友として成長していくE中隊の面々が織りなす人間ドラマには、思わず胸が熱くなるはず。

 原作は伝記作家スティーヴン・アンブローズが生存者へのインタビューや手記や手紙を元に執筆した同名ノンフィクション小説。そんな史実ベースだからこそ、敵の弾に当たらず敵陣を疾走するという作中屈指の“不死身兵士ぶり”を見せつけるスピアーズ中尉の伝説的シーンには、度肝を抜かれるでしょう。

『バンド・オブ・ブラザース』

ときは第二次世界大戦の真っ只中、ナチスドイツとの激戦続くヨーロッパ戦線を舞台に、アメリカ陸軍第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第2大隊E中隊は、終戦までの3年間、命がけの激戦を生き抜いていく……。


 ――いかがだったでしょうか。退屈な毎日を程よい長さで彩ってくれるリミテッドドラマの世界は、もうあなたの目の前に広がっています。あとは、再生するだけですよ!

2021.04.28(水)
文=TND幽介(A4studio)