GW後も客足は増え続けた。週末には、開店の午前10時から閉店の午後5時までミキサーを回し続け、約500杯を販売。そんな「行列ができる京都のバナナジュース店」は、関西のテレビ、新聞でも取り上げられ、「フランチャイズで店を」のオファーが届くようになった。そして、滋賀・安曇川、神戸・元町、京都伊勢丹、青森・十和田と立て続けにオープン。本店も含め、「冬場は消費が落ちる」の判断で、11月末で全店の営業を停止していたが、今年4月からは本店、安曇川店、十和田店での営業を再開することになった。
静岡・日本平に初めての常設店
日本平店については、日本平ロープウェイ日本平駅をリニューアルするにあたり、3月1日にプレオープン。敷地内のショップを運営する株式会社静鉄リテイリングからのオファーを受けての展開で、同月28日に正式オープンとなった。
「本当にありがたいです。初めての常設店なので、静岡の方、観光客の方に長く愛していただきたいです。そして、いつ来ても楽しんでいただけるように、ホットドリンク、チョコバナナサンドも用意しました。今後は、イチゴ、みかんなど、静岡のフルーツを生かして、商品開発を進めていきます」(磯石さん)
とはいえ、主力商品は「サンキューバナナ」で、根強いファンからは「静岡の店にも行きたい」との声が多く届いているという。コロナ禍は続くが、その流れが現実になれば、静岡市の地域振興につながるため、地元財界関係者も期待感を高めている。
ちなみに、バナナとミルクだけで甘味があり、クリーミーで、濃厚なジュースを作るコツについて、磯石さんは「これは、絶対に言えない企業秘密になってしまいました(笑)」。文字通り、「秘伝のジュース」で築いた売り上げ合計額は約2300万円。本店の常連客30代男性は、磯石さんたちの人柄にも触れたことで、ウエディングプランのオファーもしたという。本業にも効果をもたらしてきたバナナジュース物語は、4月から第2章を迎える。
2021.04.06(火)
文=「文春オンライン」編集部