王子はマークルさんの安全を案じており、彼女を守ることができないことに失望しています。交際してまだ数ヶ月のマークルさんがこのような報道の嵐にさらされるのは間違っています。

 コメンテーターたちは、『これは彼女が払わなくてはいけない代償だ』などと言うでしょう。しかし王子は同意しません。これはゲームではありません。彼女の、そして彼の人生なのです」

自ら「異例だ」と言及したヘンリー王子

 そして、コメントの最後では自ら「異例だ」と言及している。

「このような声明を発表するのが異例だというのはわかっています。しかし、なぜ公に話す必要があると感じたかを、公正な心を持つ人々が理解してくれることを願っています」

©iStock.com
©iStock.com

 BBCやスカイニュース、「ガーディアン」紙や「タイムズ」紙などイギリスの大手メディアは、この段階では王子の交際について深く報じていなかった。イギリスではダイアナ元妃が過剰な取材・報道により最終的には事故死したという経験から、特に王室の取材に対しては節度をもっていると感じさせられることが多い。

 しかし、いわゆるパパラッチは別である。また母ドリアさんの自宅がロサンゼルスにあるため、アメリカの芸能メディアも取材に動いていた。結果、王子が普段経験しないほど取材現場が過熱していたのだろう。

 前に述べたようにヘンリー王子の交際相手であったチェルシー・デイビーは、メディアからの過剰な注目に耐えかね彼のもとを去ったと言われている。ヘンリー王子は苦い経験を繰り返すのを避けるため、異例の声明に踏み切ったのだ。

 この声明は効果てきめんだった。これ以降、少なくともイギリスではヘンリー王子とメーガン妃に関する報道は沈静化した。

 さらに2人もレストランやイベントに一緒に出掛けるのでなく、自宅などで静かに過ごすデートを選択していた。世間から離れてお互いに向き合い、静かに愛を育んでいった。

 

メーガン妃とダイアナ元妃の違い

 展開の早さ、勢いが印象に残る2人の最初の4ヶ月間だが、その後、婚約に向けて関係をオープンにする過程は、非常に緻密に計算されていたと思う。

2021.03.15(月)
文=亀甲博行