レトロな散策スポットとして今注目を集めている「三崎下町」

 そんなノスタルジックな店や蔵が立ち並ぶ商店街は「三崎下町」と呼ばれ、レトロな散策スポットとして今注目を集めています。

 築90年の元船具店を改装した「本と屯(たむろ)」は、一見、何屋さんか、わかりません。通りから見えるのは、三方の壁の書棚にずらりと並ぶ蔵書と、窓際にお客さんの姿が1組。

 古本屋? レストラン? ガラスの引き戸を恐る恐る開けて、顔だけ突っ込み「ここ、入ってもいいですか?」とうかがうと、やわらかい電球の光に包まれた店内のカウンターから、「どうぞ!」とお返事が。

 3年前にここに住み始めたという、店主のミネシンゴさん。ここは、いわばスモール複合施設でした。

 1階は3000冊の蔵書を自由に手に取れる蔵書室(奥にこたつ部屋も)。一方でミネさんの出版社「アタシ社」でもあり、一画には手掛けた書籍や雑誌が並んでいます。

 2階には、かつて東京で美容関係のお仕事についていた経歴から、青山にありそうなおしゃれな美容室になっています。

 三崎の港町を題材にしたエッセイ、いしいしんじ著『みさきっちょ』(アタシ社刊)を購入。

 この本、三崎港に漂う、どことなくの昭和感(書かれているのは平成ですが)がいい感じです。

2021.02.27(土)
文・撮影=古関千恵子