#216 Jogashima & Misaki Port
城ヶ島&三崎港(神奈川県)

神奈川県の三浦半島の突端に位置する三崎港。東京から2時間足らず、湘南から一歩足を延ばした先にあります。
三崎港へ向かう道程は、見渡すかぎりの畑が広がり、空を見上げればトビが円を描き、冬の晴れた日なら海の向こうに富士山までも! ちょっとした移動時間なのに、旅情もたっぷり。


三崎港を訪れる多くの人のお目当てが、“マグロ”!

室町時代から漁業が始まった三崎港。近代に入って漁船の大型化が進み、昭和初期にはマグロなどの遠洋漁業の基地として発展、マグロの水揚げ量は国内有数となりました。
さらに昭和30年代に冷凍できるマグロ船がお目見えすると、さらに遠方へ漁場を広げるように。

そんな三崎港には、美味しいマグロを供する店がひしめいています。マグロの様々な部位が楽しめる店や、魚屋さんが直営している店など、人気店には昼過ぎでも行列ができています。
ふらりと入ったのは、夫婦で切り盛りすること40年以上の割烹料理店。
脂ののったマグロ丼に、地元で採れたシャキシャキのヒジキの小鉢、地元の生ワカメのお味噌汁のセットをいただきながら、お話をうかがうことができました。

遠洋漁業が活気に溢れた昭和中期、マグロ船が入港したら、船員さんたちは次の航海までの1カ月くらい、この港町で遊んだそう。スナックが軒を連ね、それこそ毎晩、万札が飛び交っていたとか。
三崎港の町を歩くと、その名残をあちこちに見ます。「船員仕込み所・船用品」との看板を掲げた、錆びたシャッターを閉ざした店も。
半年以上続く航海のために船乗りさんが買い出しを行う店でしょうか。スナックの看板も、昭和の映画で見かけるようなネーミングです。


2021.02.27(土)
文・撮影=古関千恵子