約10年ぶりに宮藤作品に出演する心境は?

 CREAの好評連載「宮藤官九郎の最近、いつ笑いました?」のゲストにお迎えしたのは、俳優の西田敏行さん。これまでドラマ「タイガー&ドラゴン」「うぬぼれ刑事」といった宮藤作品の中で、要の役を演じられてきました。

 その3作目となるのが現在放送中のTBSドラマ「俺の家の話」(金曜22:00~)。

 長瀬智也さんと再びタッグを組み、“介護と相続”をテーマに、ひと癖もふた癖もあるホームドラマを展開中!

ADVERTISEMENT

 ドラマの放送開始を記念して、CREA2021年1月号に掲載しているインタビューの一部を大公開します。

 重要文化財「能楽」の保持者である観山寿三郎役を演じる西田さんと宮藤さんがドラマの舞台裏についてたっぷり語り合います。


役柄を能楽師とプロレスラーにしたのは「マスク」が決め手

宮藤 西田さんとは、「うぬぼれ刑事」以来になりますね。

ADVERTISEMENT

西田 「うぬぼれ刑事」、楽しかったねえ(笑)。

宮藤 あれがもう、10年前です。

西田 10年か、早いなあ。それにしても、今回はなんでまた、能楽師の家を選んだんですか?

宮藤 家出した長男が家業を継ぐストーリーなので、設定上、格式がある家がいいなと思っていたんです。それとは別に、長瀬(智也)くんの役がプロレスラーっていうのも決まっていて。決め手になったのはマスクですかね。プロレスもマスク被ってるし、能楽も面をつけるから。

西田 昔はね、観世栄夫さんとか、演劇に関わってくれた能楽師の方っていっぱいいらっしゃって、観世寿夫さんに一度、謡曲の真似事みたいなものを教わったことがあるんですよ、養成所時代に。

宮藤 ええーっ。

西田 観世寿夫さんの奥さんが関弘子さんっていう、劇団青年座の創立メンバーのひとりだったの。それが縁で、来てくれたんです。声の張りなんか、すごくてね。「(声色を変えて)おはようございます」みたいな。「わあ、さすが大御所だ」と思いながら(笑)。

宮藤 じゃあ、西田さんも多少はやってたってことですか。

西田 そうなんです。

宮藤 すごいですね。今、脚本書いてて、やっぱり難しいんですよね(笑)。落語は大衆の芸能だけど、能はそうはいかない。「タイガー&ドラゴン」の時の西田さんと長瀬くんは師弟関係で、「うぬぼれ」は仲のいい親子だったじゃないですか。

西田 そうですね。いい感じでしたね。

宮藤 今回はうまくいってない親子というか、血縁だからこその軋轢を描きたかったんです。それで介護と継承の話になりました。

西田 なるほど。いや、なかなか着想が面白いなと思って。

©️TBS
©️TBS

宮藤 今、親の介護をしている人が世間にはいっぱいいるのに、介護を扱ったドラマって、なかなかないじゃないですか。

西田 ああ、ないねえ。

宮藤 親がいないところで、家族が集まって「どうすんの?」「じゃ、何曜日は誰の担当」「俺はムリ」とか相談するやり取りとか、ドライなんだけど、思いやりがあって、面白いなと思ったんです。家を飛び出して、プロレスラーをやっていた長瀬くんが、20何年ぶりに実家に帰ってきたら、いつの間にか家の中がそうなってた、という。あの……『最強のふたり』って映画あったじゃないですか。

西田 ああ、あったね。うん。

宮藤 あれは親子ではないですけど、黒人の介護士と金持ちの老人の話で、ベッタリしてない感じがいいというか。気持ちは許してないし、言葉ではすごい憎まれ口をたたくんだけど、現実として介護はやらなきゃいけない。あの感じを長瀬くんと西田さんでやったら面白いだろうなと思ったんですよね。

西田 ああ、嬉しいねえ。

2021.02.05(金)
文=進藤良彦
写真=柏田テツヲ
スタリスト=チヨ(Corazon/宮藤さん)、平田博美(西田さん)
ヘアメイク=村田美代子、阿部麻美子(ARTS/西田さん)

CREA 2021年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

贈りものバイブル

CREA 2021年1月号

特別な一年に想いを伝える
贈りものバイブル

特別定価900円

思いもかけない日々となった2020年。いつもと違う毎日のなかで新しい習慣ともなんとか付き合ったり、戸惑うこともあったと思います。思い通りに会えない日々が続いても、贈りものという形で気持ちを届けたい――。誰もが頑張った一年と、新しい明日に贈る、感謝とご褒美、ときどきエール。いろいろな想いをギフトにして届けます。