台湾では大晦日に「年菜」を食べて開運を祈る
日本ではすでに新年を迎えておりますが、台湾をはじめとする中華圏では旧暦の正月を迎えて年を越すというのが一般的です。
2021年は2月12日に元日を迎えますが、台湾の人たちにとって最も大切な1日は旧正月の大晦日。この日は家族が集まり一緒に食事をするのが一般的で、日本のおせち料理に当たる「年菜」を一緒に食べることで、家族円満や翌年の開運を願うとされています。
年菜は縁起のいい食材や、その食材を使って作った料理などが含まれているので、日本の皆さんも意味を理解して、ぜひ開運のために食べてみてください。知っておけばきっとお得な情報なので、旧正月のタイミングと合わせてご紹介させていただきます。
また、絶品の年菜メニューが食べられる台湾のお店もご紹介。次の台湾旅でぜひ足を運んでみてください。
●縁起のいい食品の一例
【1】魚
「年年有餘(一年中お金や食べ物が余るほどある)」という言葉の中にある「餘」が魚と同じ発音となることから、大晦日にわざと少し残して食べると、翌年も余裕のある状態で過ごせると言われています。
特に魚の指定などはないので、どんな魚、どんな調理法でもOKです。
【2】大根
台湾語では大根を「ザイトウ」と発音します。中国語の同じ発音の言葉「彩頭(幸先の良い)」の意味を含むため、開運食材と言われています。
【3】大根餅(蘿蔔糕)
食材としてすでにいい意味を持つ大根を使ったメニュー。中国語のメニュー名で餅を「糕」と記載し、「ガオ」と発音するのですが、「高」という漢字も同じ発音のため、上昇するという意味を持ち、運気がどんどんアップすると言われています。
【4】水餃子
中国の昔のお金「元寶」に形が似ていることもあり、財運アップの縁起のいい食材として知られています。
【5】長年菜
葉物野菜であればOK(一般的には「からし菜」が使われています)。調理するときは包丁で切らない、食べるときには噛みきらずに食べて長寿を願います。
【6】豚足
「足が強くなることで豊かになる」という意味を持つ縁起物とされています。
【7】鶏(一羽丸ごと)
台湾語で鶏を「ゲェ」と発音、「家」も同じ発音なので、旧正月大晦日では家族円満を祈願してまるごと一羽を食べます。スープに入れる、焼くなど調理法はどのようなものでも問題ありません。
【8】蒸し海老
竹で編んだザルの上に海老を載せて蒸すのが伝統的な蒸し方。竹はどんどん上に伸びて生長していきます。また、蒸すという調理方法も湯気が上がっていくことから、「上昇」を意味すると言われています。
さらに海老は蒸すことで、幸運を表す色、赤に変わることから、蒸し海老を食べることによって来年1年がいい年になるとされています。
【9】リンゴ
中国語で「蘋(ピン)」と発音。「平」も同じ発音であることから、平安を意味する縁起のいい食べ物とされています。
【10】パイナップル
台湾語でパイナップルを「オンライ」と発音します。中国語の言葉「旺來」(繁栄)と発音が似ていることから、縁起がいいと言われています。
【11】みかん
みかんは中国語で「橘子」と言います。「橘(ジュ)」が吉の意味をあらわす「吉(ジ)」と発音が似ていることから、縁起がいいとされています。
【12】ピーナッツ
台湾語でピーナッツを「トドォ」と発音します。「食乎老老老(長生きしていつまでも食べれる)」という意味の言葉に似ていることから、縁起がいいと言われています。
【13】火鍋
丸い鍋から「圓」という言葉が連想され、さらには「圓満(円満)」という言葉にもつながることから、日本の年越しそばのように、大晦日の夜は家族で鍋を食べるのが一般的です。
鍋の中に年菜に含まれる食材や、丸いお餅、すり身団子などを入れると、さらに縁起がいいと言われています。
2021.02.08(月)
文・撮影=矢作晃之