島発祥の闘牛ならぬ “闘ヤギ”は迫力満点!
この島発祥のイベントもユニーク。たとえば闘牛ならぬ、“闘ヤギ”。地元の呼び名で“ピージャーオーラサイ”。“ピージャー”とは沖縄県北部の方言で“ヤギ”、“オーラサイ”は“ケンカ”を意味します。
ヤギといえば、アニメ『アルプスの少女ハイジ』に出てくる子ヤギのユキちゃんのイメージだったのが、ピージャーオーラサイの選手ヤギを一目みて驚愕。
ポニー級の体格(過去には110キロクラスも)があり、角も立派。でも、鳴き声は「めぇ~」とかわいらしい。
闘ヤギは瀬底島で始まって以来20年以上続き、今では他のエリアにも広がっているそうです。
瀬底島では毎年5月4日に闘ヤギが開催されています。直径6メートルのリング内で2頭のヤギが対峙し、後ろ足で立ち上がり、角をガツーンとぶつけたり、脇に頭を突っ込んで押し合ったり、かなりの迫力。
技としては、正面からぶつかりあう「正面割り」、相手の前足に角をひっかける「掛け技」、脇から押していく「肩押し」、この3つが基本です。
とはいえ、ヤギは闘牛とは異なり、一朝一夕に戦いが進みません。対戦相手との相性が勝敗のカギを握り、牛のように体重別に分けるというわけにはいかないのです。
ヤギにやる気がないと、そっぽを向いてしまいます。一方、ヤギの逃げない性格から、ずっと戦い続けるケースも。なので、対戦時間は15分間限定です。
対戦中の実況アナウンスも、場を盛り上げます。やる気がないヤギには、「この後、解体したいと思います」と、シュールなハッパをかけます(あくまでジョークです)。
そして観客も、ヤギ汁をいただきながら、観戦するのが楽しみだとか。子ヤギが当たる抽選会も人気だそうです。
また、瀬底島の豊年祭は、沖縄の他のエリアと少々異なります。旧暦の8月11・13・15日にわたり、4年に一度、大綱引きの年(辰年と戌年)と踊りの年(丑年と未年)が交互に開催されます。
大綱引きに使う綱は、1カ月かけて島の老若男女がワラで編んで作ります。直径約80センチ、長さ65メートルもの綱を、南方組と北方組に分かれて引っ張り合います。周囲からは「よっしゃー!」「引け! 引け!」と大歓声。
丑年の今年は、8年ぶりの踊りの年。組踊りや男性によるマスゲームのような出し物、そして瀬底島だけでしか演じられない女性の舞もあるそうです。
新型コロナウイルスが豊年祭までに収束していることを、願うのみです。
●アクセス 那覇空港から沖縄自動車道を利用し、許田で下りて一般道を走ること約90分
●おすすめステイ先 ヒルトン沖縄瀬底リゾート
https://sesoko.hiltonjapan.co.jp/
【取材協力】
本部町観光協会
瀬底島公民館
Column
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2021.01.16(土)
文・撮影=古関千恵子