盗み聞きするため、背中が少し丸まっていて猫背

――役作りのために特にされたことはあるのでしょうか。

 「『盗み聞きするため、背中が少し丸まっていて猫背』。台本には、耳野郎の外見はこんな風に描写されていました。最初は少し芝居がかった表現でドラマでは不自然ではないかなあと思ったのですが、演じてみると、なるほど、自然と肩がすぼまって体が曲がってきました(笑)。

 耳野郎は10代からこの仕事についていて、なによりも罪悪感が心の奥底に染みついている。その罪悪感に自身が圧倒されている人物でした。そんな雰囲気を醸し出せるようにと思いながら、演じました。

――北朝鮮の方言も見事に駆使されていました。

 「北朝鮮の方言は、2年前にたまたま北朝鮮の方言を使った芝居に出演しまして、その時に脱北者の方と会って、レッスンを受けました。

 もう忘れているかなあと思ったのですが、話し出したらまだその感覚が残っていて、今回はあまり苦労せずにできました。それでも、撮影現場では北朝鮮の方言担当の先生(脱北者)が常にいて、シーンごとにチェックしてもらっていました」

2020.07.11(土)
文=菅野朋子
写真=Junwoo Cho