二戸が世界に誇る日本酒と「漆」究極のテロワールを堪能する
世界的な評価も高い、明治創業の蔵元「南部美人」。
地域の風土を活かした酒造りにこだわっており、全量地元の酒米「ぎんおとめ」を使用した特別純米酒も手に入ります。
地元の米と折爪岳の伏流水を使い、二戸の南部杜氏が、二戸の酒蔵で醸す酒は、まさに究極のテロワール。
このように“オール二戸”でものづくりができるのは、土地の豊かさゆえでしょう。
もうひとつ、二戸が世界に誇るものといえば“漆”。
現在、国内で流通する国産漆は、全体のわずか3パーセントほど。そのうちの70パーセントが、二戸市浄法寺地区を中心に生産されている「浄法寺漆」です。
熟練の漆掻き職人が掻いた漆は、最高品質のものとして全国に出荷され、金閣寺や日光東照宮を始めとする文化財の修復にも欠かせないものとなっています。
この地で漆器づくりが始まったのは、平安時代。地元の人たちが“御山”と呼ぶ古刹・天台寺の僧侶たちが、日々の食事に使うため、自ら器を作ったことに由来するといわれています。
地元の塗師が国産の木地に浄法寺漆を塗重ねて生まれる漆器は、工房を備えたショールーム兼ショップ「滴生舎(てきせいしゃ)」などで購入可能。工房見学や漆塗り体験なども定期的に行っています。
温泉から、郷土食、酒、工芸品まで、二戸の自然と人々が育み、受け継いできた風物には、そのひとつひとつに愛すべきストーリーがあります。
季節ごとに通い、土地の魅力をゆっくりと紐解いていく旅は、日々、慌ただしく働く私たちの心に深く染み入る体験となるはずです。
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2020.06.21(日)
文=伊藤由起
取材協力=岩手県二戸市産業振興部商工観光流通課