「かけそば」は見事な小料理屋の味

 常連の皆さんも少しずつ来店し、活気ある店内になってきた。皆、新型コロナのことで話題が集中している。

 しばし待って登場した「焼うどん」は見た目も味もお見事。にんじんやキャベツ、玉ねぎなどが大きめにカットされ適度な植物オイルで炒められている。

 醤油ベースで味が出来上がっており、かつお節が踊るように揺れている。

 さて、「かけそば」が登場した。十分なつゆにそばが入り、刻み海苔、水菜、粗目に切ったネギが載る。

 透き通ったつゆをひとくち啜ると、出汁の香る上品な味である。アツアツで塩味はちょうどよい。

 そばは寒河江の乾麺だそうで、茹で具合が少し固めに仕上げてある。食べていくうちに徐々に馴染んでいく計算なのだろう。

 一杯のかけそばと言うけれど、「わらじ」の「かけそば」は見事な小料理屋の味に包まれていた。

 女将さんに一見なのに長居したことを詫びて、再訪を約束し店を後にした。

「飲み屋のシメのそば」。これから少し追求しないといけないジャンルだなと思いながら先輩社長と別れ帰路についた。

お菜処 わらじ

所在地 東京都品川区大井1-22-18
営業時間 17:00~23:00
定休日 不定休

※こちらの記事は、2020年3月3日(火)に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.03.16(月)
文・撮影=坂崎仁紀