約50年の歴史を持つアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』。その人気キャラクターに焦点を当てたムック『ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねこ娘大全』『ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねずみ男大全』が2020年3月3日(火)、2冊同時に発売!

 最終回は、若き日に水木プロで研鑽を積んだ漫画家の池上遼一さんにインタビュー。自身も漫画家だからこそ分かる、水木しげるさんの凄さを語ってくれました。

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#1 ねこ娘役 庄司宇芽香
#2 キャラクターデザイン・総作画監督 清水空翔
#3 ねずみ男役 古川登志夫
#4 シリーズ構成 大野木寛


「呼んでくれるんだったら誰でもいいや」と水木プロへ

――本日は現在放送中のテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するねずみ男をまとめた電子書籍『ねずみ男大全』の取材で伺いました。

池上 僕はほとんどアニメを観ていないんですよ。

 僕の世代は、鬼太郎といえば貸本漫画で描かれていた『墓場の鬼太郎』の世界。僕が水木先生のアシスタントになったときは、『墓場の鬼太郎』が『ゲゲゲの鬼太郎』にタイトルを変えて、「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されはじめたときでした。

 そのときに貸本版の『鬼太郎』の、やや大人向きな、怪奇調でおどろおどろしい絵柄では少年誌にそぐわないということで、キャラを丸く可愛くしたんです。

 でも、僕は雑誌に載ったほうにはあまり興味がなくて、貸本版のほうが好きなんです。

――池上先生がアシスタントに入った頃は、すでに「週刊少年マガジン」での連載が始まっていたということですよね?

池上 そうです。連載された話のなかには、貸本漫画に描いたアイデアの焼き直しみたいなものもあるんです。「夜叉(『墓場鬼太郎』「下宿屋」より)」とか「吸血鬼エリート(『墓場鬼太郎』「霧の中のジョニー」より)」とか。

 僕は正直言って、水木先生のアシスタントになるまで、先生の名前すら知らなかった。

 漫画家になるために、「とりあえず東京に行こう。呼んでくれるんだったら誰でもいいや」という感じで水木先生の所に行きました。

 そこに、つげ義春先生がいてビックリしたんです。僕はさいとう・たかを先生の大ファンだったのですが、つげ先生の作品も社会派的な話を叙情的に描かれて大好きでした。

 アシスタントになってから水木先生の作品をいろいろ読ませてもらって「すごい先生のところに来たなあ」と思いましたけど(笑)。

2020.03.05(木)
文=「文藝春秋電子書籍」編集部