マスクは一日
3~4枚惜しみなく

 そして飛沫感染対策のマスク。

「ある調査で、1日1枚使うという人が多かったのです。着脱回数は、男性8・6回、女性7・9回。同じマスクを着ける時に表面を触ってしまう。

 ここは、他人の飛沫を浴びて汚染されていますから、触ってほしくない。マスクのヒモを持って外し、なるべく使い捨てが望ましい。

 アメリカの論文では、医療用のN95の高性能マスクでも安価なサージカルマスクでも予防効果の差はなかったというデータが出ました。1日3~4枚は使ってほしいですね」

 また口腔ケアも大切。積極的に口腔ケアを行った群は、しなかった群に比べインフルエンザの発症率が、10分の1になったという日本のエビデンスがあるという。

「口腔内には細菌がたくさんいます。毎食後のほか就寝前にも歯磨きをしてほしいですね」

 摂取を心がけたい栄養素は?

「ビタミンCと考える人が多いのですが、ビタミンDの方が効果的だという呼吸器感染症予防のデータがいくつかあります。脂溶性なので鮭などの魚類、キノコなどを炒めて食べるのがいいと思います。

 あとは日光浴。手のひらだけでいいので、冬の季節は15~20分手袋を外して歩いてみましょう」

 また、睡眠も大切。7時間眠る人と6時間未満の人を比べると、風邪の引きやすさは約4.2倍になるという。大谷先生は、この論文を読んでからは、6時間を切らない睡眠時間を心がけている。

 どれもすぐ実行できることばかり。この冬は元気に過ごそう。

●教えてくれたのは…
大谷義夫(おおたに よしお)先生

呼吸器・アレルギー・内科専門医/指導医。池袋大谷クリニック院長。博士(医学)。群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、米国ミシガン大学留学東京医科歯科大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授などを経てクリニックを開院。分かりやすく実践的なコメントでテレビ、ラジオ、雑誌などに登場。『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)など著書多数。

Column

CREA HEALTH

わたしの未来のカラダのために。

2020.01.05(日)
Text=Kaoko Saga(Lasant)

CREA 2020年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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東京は、世界でも有数の、秘密に溢れた街だと思います。見慣れた場所でも、ちょっと視点を変えれば新しい発見がある。通り過ぎてしまっているものに目を向ければ、そこにはストーリーがあります。食、建築、カルチャーなど、今回は、そんな東京の魅力を掘り下げて取材。知っているようで知らない東京に出会えます。