全身浴でリラックス
自律神経を整える

 今朝、すっきり気持ちよく起きられた?

 「朝起きた時になんとなくだるい、眠ろうとしてもなかなか眠れないと訴える人が増えています。会社や日常生活でのストレスなどの原因もあるのですが、寝る直前までスマートフォンでSNSをチェックしたりしていませんか?」とは、入浴の医学的効果を研究・調査している早坂信哉先生。

「心当たりのある人は、質のいい睡眠がとれていない状態です。睡眠の質を左右しているのは、自律神経です。昼間の時間帯は、仕事や家事、人間関係などのストレスや緊張で自律神経の交感神経が優位な状態。

 夜間は副交感神経が優位に切り替わる時間帯ですが、脳が興奮状態になっていて、その切り替えがうまくできなかったのでしょう」

 自律神経には、交感神経と副交感神経があり、私たちが意識しなくても状況に応じて体のコントロールをしてくれているという。

 けれども、明日は就職の面接や重要なイベントなどがあって、眠りたいのに目がさえてしまって眠れない! という場合は、心身にストレスがかかり、切り替えスイッチが働かなかったといえる。

「副交感神経が、寝ている間にしっかり働いてくれると睡眠の質がアップします。リラックスして体を休めることができ、日中に消耗した脳や体の器官の修復や再生など、正常な人間の体を維持するためのメンテナンスができます」

 睡眠の質をよくする身近なリセット術として、毎日の入浴法を見直してほしいという早坂先生。基本は、40度を目安にした温度の湯船にゆっくり浸かること。少しぬるいかなと感じる温度だ。

「全身浴で浸かる時間は10~15分で十分。これだけで体温の上昇は、0.5~1度、血流アップにより、酸素や栄養分、ホルモン、免疫物質などが体の隅々まで運ばれ、老廃物が代謝され、副交感神経への切り替えスイッチが入り、自律神経を整えてくれます」

2019.10.18(金)
text=Kaoko Saga(Lasant)

CREA 2019年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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