#179 Nusa Penida
ヌサペニダ(インドネシア、バリ島)

バリ島の南東沖に3つの島々が肩を寄せ合うように浮かんでいます。ヌサペニダ、ヌサレンボンガン、ヌサチュニガン。これまでヌサレンボンガンと、そこと橋でつながるヌサチュニガンへは、何度となく訪れたことがありました。
けれど、ヌサペニダはどうも近寄りがたい雰囲気。


というのも、ヌサペニダにはバロンダンスに出てくるランダのモデルとなったムチャリンの住処だとする伝説があるのです。この悪霊ムチャリンは怒りだしたら、隣のバリ島へ洪水などの禍をもたらすという厄介者。
そこでゲルゲル王国とバリ島の僧侶(ペニダ)が退治しに行ったのが、島の名前の由来という説もあります。
そんなヌサペニダが今、大人気だというウワサ。ためしに訪れてみることにしました。
ヌサペニダへ渡るボートが発着する、バリ島サヌールのビーチに到着したのは早朝7時。ビーチ沿いにびっしりとボート会社のテントが軒を連ね、早朝にも関わらずすでに年末のアメ横のように人でごった返しています。

多くがバックパッカーや手ぶらの日帰りツアー客ですが、中にはワンピース姿でスーツケースをガラガラ押している女の子も。サヌールのボート乗り場に桟橋はなく、海へずぶずぶと入り、そのままボートに乗り込みます。

ヌサペニダまでは約40分。桟橋にはずらりとミニバンが待ち構えています。船から降りた人々は次々と車に乗り込み、船着き場を去っていきます。
島特有のなれあいムードはなく、スムーズかつシステマティックな動き。今どきの観光化とは、こういうものなのかと、びっくりしました。
2019.08.24(土)
文・撮影=古関千恵子