次々と明らかになる相似性

 まずは、マルコス・ヴァーリのデビューアルバムを俺のレコード棚から引っ張り出してみる。

左:1964年に世に送り出されたマルコス・ヴァーリのファーストアルバム『Samba “Demais”』。ジーニアスの誕生と呼ぶにふさわしい。清潔感あふれるルックスが初々しい限り。
右:1972年にリリースされた五木ひろしのシングル「あなたの灯」。「よこはま・たそがれ」に続き、山口洋子・平尾昌晃コンビが手がけた楽曲である。
左:1964年に世に送り出されたマルコス・ヴァーリのファーストアルバム『Samba “Demais”』。ジーニアスの誕生と呼ぶにふさわしい。清潔感あふれるルックスが初々しい限り。
右:1972年にリリースされた五木ひろしのシングル「あなたの灯」。「よこはま・たそがれ」に続き、山口洋子・平尾昌晃コンビが手がけた楽曲である。

 似ている。

 リオデジャネイロと福井。それぞれの出身地の風土の違いがその背景に反映されてはいるが、デザインのコンセプトはまるっきり同じである。髪の分け目も一緒だ。

 次は、マルコス・ヴァーリの名を一躍高からしめた名盤の登場だ。

左:マルコス・ヴァーリのセカンドアルバム『Samba '68』は、その名の通り68年に発表された初期の代表作。「So Nice(Summer Samba)」「Batucada」などエヴァ―グリーンな名曲が満載だ。
右:2010年リリースの「この愛に死んでも」は、五木にとって50代最後のシングルとなった。
左:マルコス・ヴァーリのセカンドアルバム『Samba '68』は、その名の通り68年に発表された初期の代表作。「So Nice(Summer Samba)」「Batucada」などエヴァ―グリーンな名曲が満載だ。
右:2010年リリースの「この愛に死んでも」は、五木にとって50代最後のシングルとなった。

 タートルネックにテーラードのジャケット。

 Yシャツにネクタイというお堅い社会規範から少しばかりはみ出ようと試みる男性にとってひとつの定番ファッションだが、この2人の伊達男は、そんなカジュアルフライデーのレベルにとどまらない根っからの洒落者っぷりを見せつけてくれる。

左:『Tempo da Gente』は、1986年に発表されたアルバム。アーバンかつメロウなブギーがたっぷり詰まっている。この後、マルコスは12年ほど沈黙することになる。
右:『絆 五木ひろしテレビ・映画主題歌集』は、1989年リリース。このアルバム発売後の同年5月、五木は女優の和由布子と結婚する。
左:『Tempo da Gente』は、1986年に発表されたアルバム。アーバンかつメロウなブギーがたっぷり詰まっている。この後、マルコスは12年ほど沈黙することになる。
右:『絆 五木ひろしテレビ・映画主題歌集』は、1989年リリース。このアルバム発売後の同年5月、五木は女優の和由布子と結婚する。

 出た。世界中のミュージシャンが一度はチャレンジしたいと考える、『スリラー』オマージュである。

 なお、本家マイケル・ジャクソンの『スリラー』は、姿勢の左右がマルコス・五木とは逆となっている。

『スリラー』は、1982年の発売以来、今に至るもセールスを伸ばし続けている。「世界一売れたアルバム」という記録は、未来永劫破られることはないであろうと予測する。本作のパロディジャケットとしては、アル・ヤンコビック『スリだー』、竹中直人「レスラー」、ボブ・サップ「SAPP Time!」などが著名である。
『スリラー』は、1982年の発売以来、今に至るもセールスを伸ばし続けている。「世界一売れたアルバム」という記録は、未来永劫破られることはないであろうと予測する。本作のパロディジャケットとしては、アル・ヤンコビック『スリだー』、竹中直人「レスラー」、ボブ・サップ「SAPP Time!」などが著名である。

2019.06.17(月)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋