次々と明らかになる相似性
まずは、マルコス・ヴァーリのデビューアルバムを俺のレコード棚から引っ張り出してみる。


右:1972年にリリースされた五木ひろしのシングル「あなたの灯」。「よこはま・たそがれ」に続き、山口洋子・平尾昌晃コンビが手がけた楽曲である。
似ている。
リオデジャネイロと福井。それぞれの出身地の風土の違いがその背景に反映されてはいるが、デザインのコンセプトはまるっきり同じである。髪の分け目も一緒だ。
次は、マルコス・ヴァーリの名を一躍高からしめた名盤の登場だ。


右:2010年リリースの「この愛に死んでも」は、五木にとって50代最後のシングルとなった。
タートルネックにテーラードのジャケット。
Yシャツにネクタイというお堅い社会規範から少しばかりはみ出ようと試みる男性にとってひとつの定番ファッションだが、この2人の伊達男は、そんなカジュアルフライデーのレベルにとどまらない根っからの洒落者っぷりを見せつけてくれる。


右:『絆 五木ひろしテレビ・映画主題歌集』は、1989年リリース。このアルバム発売後の同年5月、五木は女優の和由布子と結婚する。
出た。世界中のミュージシャンが一度はチャレンジしたいと考える、『スリラー』オマージュである。
なお、本家マイケル・ジャクソンの『スリラー』は、姿勢の左右がマルコス・五木とは逆となっている。

2019.06.17(月)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋