自分には「知る権利がある」と
思い込んでいる

 デリカシーのない人は「鈍感」と思われがちですが、そうではありません。

 「これって聞いたらまずいよな」とちゃんとわかったうえで、ずかずかと踏み込んできます。狙ってやってる。わかってやってる。確信犯です。

 どうしてそこまでするのか。それは「知りたい」から。
 
 とにかくもう知りたくてたまらない。ゴシップ、うわさ話を我慢できない。それはまるで、ジャンクフードを食べつづける子どものようです。

 そしてなぜか「自分にはそれを知る権利がある」と思い込んでいるのが不思議なところ。さも当然の権利のように、強引にしつこく聞いてきます。まるで、「言論の自由」を振りかざすゴシップ記者。こっちがいくらイヤな顔をしてもお構いなしに、ぐいぐい入ってきます。

 ほとほとウンザリ。こんなハイエナを追い払ういい方法はないのでしょうか?
 
 この人たちに速やかにお引き取り願うにはどうすればいいのでしょうか?

「宗教」「家庭」「金銭」が
三大闇話題

 こういうデリカシーがない人を黙らせるためには、あっちとしてもさすがに突っ込みづらい話題を持ち出すしかありません。

「なんで結婚しないの? 理想が高いとか?」

「家庭の事情が複雑で……」

「子どもはまだ? 早いほうがいいよ」

「宗教上の理由で……」

「離婚したんだって? どうして? なにがあったの?」

「ちょっとお金のトラブルに……」

 いずれも詳しく話す必要はありません。もちろんウソでOK。まるで被害者のように、悲劇の主人公のように、そっと目を伏せて小声でつぶやくようにしましょう。

 そうすればあっちもようやく、「これは突っ込んだらまずい話題だ」と警戒して、引き下がってくれるでしょう。

 それでも引き下がらずに、ぐいぐい来る人に対しては「いえ、ほんとに、もう」「ああ、なんでこんなことに」と顔をそむけます。もしあなたが演技派なら、目に涙を溜めるのも効果的です。

 こうやって相手を煙に巻くと、そういう人はたいていおしゃべりですから、しばらくはおかしなうわさが立つかもしれません。

 ですが、変に聞き回られるよりも、「あの人はやばい人だ」と遠巻きに眺められるほうがまだマシというものです。こういう人とは関わらないのが一番なのですから。

 デリカシーのない人には、さすがの彼らもどん引きするような話題を示して、お引き取り願いましょう!

【今回のポイント】
デリカシーのない人は……

◆実は「知りたい」という欲求からなんだってする。

◆NGアクション:「プライバシー」と取材拒否するのは難しい。

◆OKアクション:闇の話題を持ち出して追い払う。

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五百田達成(いおた・たつなり)

心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」など。
Twitter @ebisucareer