フィットネスDVDをリリース

 今年、ドロテは彼女自身が続けてきたフィットネスを収録したDVD『ドロテ・ジルベール パリ・バレエ・フィット』を発表した。

 筋トレ、有酸素運動、ストレッチを取り入れた一日15分のメニューを紹介する内容だ。このDVDの中のドロテの表情がとてもいい。「美は一日にしてならず」「でも楽しみながらやらなくては意味がない」と言われているような気にもなる。一緒にエクササイズすれば効果が出るし、見ているだけでも元気になる。

「日本のスタッフの皆さんと3日間で撮影したのですが、何台もカメラを置いて、さまざまなアングルから撮りました。オペラ座から近いところにある古い建物をリノベーションしたスタジオで、とてもいい雰囲気でしたね。私はバレリーナですから『ここは白鳥の動きを取り入れて……』というように、ただ腕を動かすのではなくバレエの要素も加えました。バレエミストレス(教師)みたい? 確かに、一緒にリハーサルしているダンサーに『ここはこうすればいいんじゃない?』とアドバイスして、『おかげでよくなった』と言ってもらったことはあるわね。人にアドバイスできるのは、自分がやった経験があることだから。プロのダンサーになったら、自分で自分を直していくことが求められます。それまではバレエ学校で先生が直してくれていたことを、自分でやらなければならないんです」

 ドロテが故郷トゥールーズでバレエを習い始めたのは7歳。11歳でパリ・オペラ座バレエ学校を受験するも不合格となり、12歳で再び挑戦して合格をする。ローティーンの頃から、血のにじむような努力を重ねてきた。

「パリ・オペラ座バレエ学校に入れる上限の年齢が当時は12歳だったんです。だから、もう必死でした。トゥールーズでバレエを始めた7歳の頃は、バレエが職業になるとは思っていなかった。ある日、母親とバレエを観に行って『あの人たちはダンスを職業にしているの?』と聞いたんです。母は『もちろんよ。ダンサーは踊ることを仕事にしているの』と答えてくれた。そこで、初めてバレエを自分の仕事にしたいと思ったんです。幸い両親は、子供のやりたいことを自由にさせてくれる人たちだったけれど、『バレエダンサーを目指すのはいいけれど、オペラ座以外はダメ』と言われて(!)。『パン屋になるなら一番のパン屋にならなければ』ということと同じだったと思うけど……両親の方針にはとても感謝しています」

2018.11.08(木)
文=小田島久恵
撮影=深野未季