「きよしこの夜」の初演は
小さな小さな教会で

 「きよしこの夜」の詩をつくったモール神父がオーベルンドルフ村に赴任すると、教会のオルガン奏者として手伝っていたフランツ・クサーバー・グルーバーと出会うことに。

 そして1818年、神父の「きよしこの夜」にグルーバーがメロディーをつけ、いま私たちが耳にしている「きよしこの夜」が生まれた。初演はこの年のクリスマス・イヴ。

 その後、 初演が行われた聖ニコラス教会は、度重なる洪水の被害で閉鎖されてしまう。いまはその場所に小さな「きよしこの夜」礼拝堂と博物館が立ち、礼拝堂では当時のようにギターと歌手の2人組が「きよしこの夜」を聞かせてくれる。

 クリスマス時期には、この「きよしこの夜」ゆかりの地で、さまざまなイベントが催される。音楽祭で世界的に知られるザルツブルクの街だけでなく、作者に縁のある小さな田舎町の小さな博物館でも開催。歌が生まれた当時に思いを馳せるには最高の舞台が整っているので、そうした田舎町を訪れてみるのもいいものだ。

2018.09.04(火)
文・撮影=大沢さつき