こたつに入ってぬくぬくしながら、日本茶を飲み、お菓子やみかんを食べる。日本ならではの冬の過ごし方ですね。そんな時に欠かせないお菓子のひとつが、ジャパニーズ・クラッカー、おかき。
ところで、「おかき」は餅米が材料で、「せんべい」はうるち米で作られること、ご存じでした?
関西人にとって「せんべい」といえば、神戸名物の瓦煎餅のように甘いもののイメージだったので、それを聞いてとても驚きました。そういえば、関東で有名な「草加せんべい」は、醤油味で甘くない。草加せんべいは、うるち米が原料。納得です。
右:リニューアルオープンしたばかりの、とてもシンプルなお店。
大阪市営地下鉄谷町線の八尾南駅から歩くこと約7分。八尾空港近くにある「ももちゃんのおかきせんべい」は、うるち米が原料のせんべいを作る「桃乃屋」に隣接した直売店。「おかきせんべい」としたネーミングは、まさに関西人の「せんべい」のイメージがあるからだそう。
2010年に開店して、2017年11月にリニューアルオープン。新しくなった店舗は、白が基調で明るくシンプルな内装。おかきせんべいがさりげなく並んでいて、入りやすい雰囲気です。
米菓「桃乃屋」は、創業1930年。日本でも数少ない、鉄板でおかきせんべいを焼く老舗です。そのおかきせんべいは、「ももせん」と呼ばれて、地元ではすっかりおなじみなのだそう。
「初代・桃井善男が東京・新宿区で創業した後、1948年に大阪市西区に移って開業。70年に八尾市に移転しました」と、2代目で昭和16年生まれの桃井正夫さん。初代は草加せんべいを炭火で手焼きしていたと言います。それだけでなく、鉄工所でせんべいを焼く機械を造り、今も、その機械で焼き続けているのだそう。
右:2代目、桃井正夫さん。
国産のうるち米を使った生地は、山形にある生地屋から仕入れたもの。その生地を乾燥機で乾燥させて一日寝かせ、厚さ100ミリの鉄板で焼き上げます。うまみを逃さず焼き上げるには、職人の経験や勘が大切。
「バーナーを使い約200℃の火力で焼くので、焼け具合、食感が毎回変わります。上手く焼くのは、なかなか難しいんですよ」(桃井正夫さん)
分厚く大きな鉄板で挟んで、途中でくるりと回転させて焼く珍しいスタイル。手焼きのぬくもりが伝わるおかきせんべいなのです。
「乾燥機で生地の水分を均一にする加減も難しい」と、3代目の桃井信善さん。乾燥機も見たことのない珍しいもの。ひとつひとつの丸い缶がくるくる回りながら、大きく回転して乾燥させていく形式。信善さんは、2代目の正夫さんから技を受け継ぐために日々精進しているのだとか。
店に立つ奥様の睦さんは「職人仕事なので、大量生産はできません。ネット販売も行なっていますが、手間ひまかけた本物の焼きたてのおいしさをお店に食べに来てください」とにっこり。
右:生地の乾燥機の前に立つ3代目、桃井信善さん。
2017.12.24(日)
文・撮影=そおだよおこ