ゴッホが描いた風景と
同じ場所に身を置いてみる

「フィンセンター」には日本語のオーディオガイドもある。

 ヌエネンは、イギリスのロンドンやオランダのハーグなどで20代を過ごしたゴッホが、30歳の頃に両親を頼って戻って来た街。両親はズンデルトからヌエネンへと移り住んでいた。

 既に画家を志していたゴッホはここで暮らした1883年12月から1885年11月の2年間に、スケッチも含めて約500点もの絵を描いた。生涯に描いた約2000点の絵のうちの4分の1がこの街で描かれたのだ。

 風景画が主流だった当時、ゴッホは普通の人々の暮らしを描いた。この地で描かれた作品のひとつが、名作『じゃがいもを食べる人々』だった。

「フィンセンター」にはゴッホが使っていた絵の道具も展示されている。

 まずは、2010年にオープンした「フィンセンター」へ。

 ここは、最新の視聴覚テクノロジーを使って、ゴッホが描いた当時の人々の暮らしを体験できる施設。彼の生涯を追った年譜や、実際に使っていた筆や絵の具、牧師をしていた父親が着ていた祭服なども展示されている。

 予習が終わったところで、ガイドさんとともに街を散策することに。

 ヌエネンには、ゴッホゆかりの場所が20カ所以上ある。その中には、彼が描いた風景がそのまま残っている場所もある。それらには、ズンデルトの街と同様にオーディオガイド付きのインフォメーションボードが立てられている。

ゴッホの父親が暮らしていた牧師館の前で、ゴッホが描いた絵を見ながら説明を聞く。
牧師館の裏手にあるゴッホがアトリエとして使っていた小屋。個人所有なので見学できるのは外観だけだ。

 最初に訪ねたのはゴッホの父親が暮らしていた牧師館。離れの小屋にはゴッホのアトリエがあった。現在は個人が所有している。ガイドさんがこの館が描かれたゴッホの絵とともに説明してくれた。なるほど、描かれた絵と寸分たがわぬ建物だ。

左:ゴッホの絵と風景が対比されていて、ゴッホが生きていた時代に思いを馳せることができる。
右:ゴッホゆかりの場所にはオーディオガイド付きのインフォメーションボードが。

 そして、うっそうと緑が繁る小径に入っていくと、途中、額ぶちだけが立てられた場所が。額の手前に立つと、ゴッホが描いた構図が額の中に収まるという仕組みだ。なんて素敵な演出だこと!

額の前に立つと、ゴッホが描いた絵の構図そのままの風景を眺めることができるよう工夫されている。

 小径を抜けるとゆるやかなカーブを描く道に出た。今は風景が変わってしまったけれど、ここもゴッホの絵に描かれた道なのだと、実際の風景に絵を重ね合わせて説明していただく。

ゆるやかにカーブしている道と、ゴッホがここで描いた風景画。道は舗装され、民家が並んでいるが、道の形はゴッホが暮らした当時と同じだ。

 まるでゴッホの時代にタイムスリップしてしまったかのような、楽しいウォーキングツアーだった。

Vincentre(フィンセンター)
所在地 Berg 29, 5671 CA Nuenen,
電話番号 040-2839615
http://www.vangoghvillagenuenen.nl/het-vincenter.aspx/

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2017.10.12(木)
文・撮影=たかせ藍沙