#111 Cape of Good Hope
喜望峰(南アフリカ)

もともとの名前は「嵐の岬」だった

通年、強い風が吹きすさび、海況が荒れている喜望峰。以前の名前は「嵐の岬」。

 ケープ半島の南端に位置する、喜望峰。アフリカ大陸の最南端だと誤解されがちだけれど、実は最南西端にちょこんと突き出た岬です。

 大航海時代にヴァスコ・ダ・ガマがこの岬を越えたことがインド航路の開拓の大きなターニングポイントとなり、その地名が歴史に刻まれました。世界史の教科書にも書かれているので、遥か遠くのアフリカ大陸の南端近くながら、聞き覚えのある地名でしょう。

波風で浸食された喜望峰。この岩山の天辺から大海原を望むことも。

 喜望峰が発見されたのは、ヴァスコ・ダ・ガマの航海の9年前の1488年のこと。ポルトガルのバルトロメウ・ディアスの偶然といってもいいような災難がきっかけ。

 ディアスがアフリカ大陸の西を南下していたところ、嵐に遭い、船は制御不能に。13日間漂流したのち、自分たちがアフリカ大陸の東側を航行していることに気付き、アフリカ大陸の南端を回ったことを知ったのだとか。ディアスもインド航路を確信したものの、実行に移すには船員の不満が爆発寸前だったため、引き返すことに。もうひと踏ん張りで、さらに知名度がアップしたのに、惜しい!?

こちらは喜望峰から車で約10分のケープポイント。やはり、荒れた海況。

 ディアスとしては、とんでもない悪天候に見舞われて「嵐の岬」と名付けたのだけれど、ポルトガルの王は後のヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見が国に希望をもたらすという思いから、今の名前に変更。「岬」ではなく、「峰」となったのは、誤訳との説もあるけれど、「喜望峰」、明るい未来にわくわくする地名じゃありませんか?

喜望峰の記念撮影ポイントはこちら。周囲に土産物店やレストランもなく、世界的な観光スポットらしさはないけれど、その分、自然の迫力がたっぷり伝わってきます。

2016.11.20(日)
文・撮影=古関千恵子