緑色のにょろにょろあってこそ
これがなくては「チェンドル」ではない!
この緑色のゼリーの名前こそが「チェンドル」。そう、つまりこのかき氷の名前の由来であり、主役というべき具なのです。まずは、この緑色のゼリーの正体からご説明をしましょう。
緑色のゼリー「チェンドル」は、東南アジアのバニラエッセンスとも呼ばれる、甘い香りのする葉「パンダンリーフ」から味付けと色付けがされています。パンダンリーフを茹でて抽出した汁を米粉や緑豆粉などと一緒に煮込み、トロみがついたら棒状の成型器から氷水の中へ押し出して冷やし、固まったら完成。まさに麺作りと同じ製法です!
噛まずとも飲み込めるくらいつるんとした食感ですが、ゼラチンゼリーよりはしっかりとしていて、程よい噛みごたえがあります。暑い時はするすると喉に運べるものを食べたくなりますから、ひんやりとしたスイーツにぴったりのゼリーなのです。
私はこのにょろにょろを初めて見たときは、「おう……、なんだか気持ち悪い……」と、しばらくは敬遠していたのですが、ある時意を決して食べてみたらとても美味しかったのです。口に運べば見た目の印象は吹っ飛んでしまう美味しさですので、ぜひ果敢に挑戦していただきたいものです。
チェンドルの楽しみ方
緑色のにょろにょろの正体が分かったところで、次はチェンドルの楽しみ方をご紹介します。
右:氷が溶けだして、ドリンク状になっていくチェンドル。レンゲで汁と具を一緒にすくいながら、スープを飲むように口に運ぶ。
サーブされてきた時は、氷もこんもりとしていますが……マレーシアは常夏の国ゆえ、氷はすぐに溶けていきます。あっという間に写真のようなシャバシャバとした状態に。
チェンドルは、いわゆる「かき氷」として味わうよりは、溶けた氷でひんやりと冷えたココナッツミルクドリンクとともにゼリーや小豆などの具を楽しむ、ひんやりドリンクのような存在かもしれません。
チェンドルを食べる時は、「氷が溶けちゃう~!」と焦ったりせず、氷が溶けだし、具やココナッツミルクが混ざり合っていく様を楽しみつつ、のんびりおしゃべりをして涼をとることをおすすめします。
2016.09.23(金)
文・撮影=三浦菜穂子