『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作が、8年ぶりに手がけた監督・脚本作『エミアビのはじまりとはじまり』。相方を事故で失った漫才師・実道を演じた森岡龍が映画愛について語る。
高校時代に、すでに「M-1グランプリ」出場
――自身で自主映画を監督し、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)でも入選されている森岡さんですが、幼い頃の夢はやはり映画監督だったのでしょうか。
小学校のときに「めちゃイケ」や「爆笑オンエアバトル」といったお笑い番組が好きだったこともあり、漫才師になりたいと思ってました。中学では同級生とコンビを組んで、文化祭で漫才を発表しましたし、高校生のときには「M-1グランプリ」に毎年チャレンジしていました。高2のとき、一度だけ2回戦に進出できましたが、やはり壁は厚かったです(笑)。
――ちなみに、映画に興味を持ち始めたのはいつぐらいでしょうか。
映画は中学生のときから好きでした。特にリアルタイムで観た窪塚洋介さんの『GO』や宮﨑あおいさんの作品、あとは北野武さんや岩井俊二さんの作品など。それで漠然と映画の道に進みたいとも思うようになりました。それで15歳のとき、今の事務所(Breath)は映画製作もしているので、「ここに入れば、映画に関するものをいろいろ学べるんじゃないか」と思い、自分から履歴書を送りました。それで、すぐに事務所から「『茶の味』という映画のオーディションがあるから受けてみないか?」と連絡があったんです。
――いきなり、オーディションを受けることに関して抵抗はなかったんでしょうか。
さっき言ったように、漫才をやっていたので、度胸だけはあって、オーディションでも漫談みたいなことをしました。それを石井克人監督が面白がってくれて、合格させてくれたんだと思います。石井監督の撮影現場は自由度が高くて、とにかく楽しかったです。完成した映画を観たときは感動しましたね。そこから役者を目指すというより、なんでもいいから映画に携わりたい! という気持ちが強まりました。
2016.09.02(金)
文=くれい響
撮影=松本輝一