第二弾は、元酒屋さんをモダンな家に

 そして、彼が第二弾として越前町役場と協力して作ったのが、越前町移住・二地域居住体験施設「Mohage(モハージュ)」。

「Mohage(モハージュ)」は元酒屋さん。

 越前町での暮らしに興味を持っていたり、仕事をしたいと思っている方などにオススメで、2泊から30泊までできます。

 私と夫も体験宿泊させていただきましたが、元が酒屋だったとは思えないモダンな仕上がり。ガラス戸を開けると開放的なリビングダイニングが広がっています。キッチン用品や食器類は揃っているので、もちろん自炊できます。

 近所に朝獲れの新鮮な魚が並ぶ「まるさんビーチマート」もあるので、食材には困りません。こちらは1分弱ですぐに海! 私たちが泊まった日は夕焼けがとてもきれいでした。

 ここに滞在した後、移住を決めた方も何人かいらっしゃるようです。

「Mohage(モハージュ)」のリビングダイニング。

越前町移住・二地域居住体験施設 Mohage(モハージュ)
URL http://www.town.echizen.fukui.jp/webworks/web/service/detail.jsp?id=3347

第三弾に続き、第四弾も今年中にオープン予定

 さらに第三弾として、2016年5月にオープンしたばかりなのが北山さんの地元、美浜町役場と作り上げた移住・居住体験施設「蒼舎」。

 解体予定だった築85年の空き家を譲り受け、改修したものです。使いやすくリノベーションしながらも、今では珍しくなったけやきの柱や昔ながらのタイル張りの浴室など、元からあるものも生かしてあります。

 農作業小屋だった納屋はサテライトオフィスとして利用できるよう、ネット環境も整備。先日、夫と共に見学させていただきました。

 海水浴場が目の前で、リビングには大きなソファ。窓を開け放ってここで読書をしたら波の音がBGMになりそうです。夏に泊まって、毎日泳ぎたいなあ~って思いました。

移住居住体験施設 蒼舎
FacebookページURL https://www.facebook.com/sosha.mihama/

 第四弾も今年中にオープン予定だとか。楽しみです。

 こうやって壊され、なくなっていく運命だった家々を、次々と魅力ある建物に生まれ変わらせていく北山さんや、福井のよさを広め、移住してもらおうと行動している町の方々の取り組み素晴らしいと思います。

『リーシーの物語』スティーヴン・キング・著/松尾たいこ・絵(文藝春秋)から。

 福井や田舎暮らしに興味がある方、いきなり移住はハードル高いけれど、こんな施設にちょっと泊まって体験してみてはいかがでしょうか?

 きっと福井を好きになりますよ。

松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/

Column

松尾たいこの三拠点ミニマルライフ

一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。

2016.06.11(土)
文・撮影=松尾たいこ