「こうだったらいいのに」と
こめかみを引き上げてみるようになったら
化粧品がいちばん苦手にしていることって、何だかわかるだろうか? ずばり、リフトアップである。肌を持ち上げること。一度落ちてしまった肌もしくは筋肉を、改めて持ち上げるのは、いわば万有引力に逆らうことなわけで、物理的にいちばん難易度が高いのはわかるだろう。
もちろん、化粧品における“リフトケア”というジャンルには、夥しい数の化粧品があり、おそらくは今の時代、いちばん新製品が多いのはここ。でも新製品が多いのは、今まさに日夜進化し続けている“発展途上”のジャンルである証。とはいえ目に見えるような手応えを得られるまでには、なかなかなっていないのが現実なのだ。
そこでクローズアップされるのが、言うまでもなく“美容医療”ということになるが、メスを使うリフトアップはもちろんのこと、ヒアルロン酸注射などの注入系も、またレーザー系の施術も、やはり価格やダウンタイムを考えると、まだまだハードルは高い。もっと手軽に、日常的に、肌を持ち上げる方法はないものか? と考えている人に、改めて伝えたいのがこれ。まさしく物理的に肌を、顔だちを持ち上げる“テーピング”や“クリッピング”である。
こめかみ方向へ筋肉を持ち上げると“美人に見える”
たとえばあなたも、鏡の前でこんなことをやってはいないだろうか? こめかみに指を当てて斜め上に引っ張って、「あーあ、こうなればいいのに」と、ため息をつくようなこと。それは、たるみが目に見えてきている揺るがぬ証拠で、意外にも早く、30代前半から始まる危機感である。
じつはここにはもうひとつ、美容における重要なカギが潜んでいる。“こめかみから肌を持ち上げる”のは、たるみのリフトアップばかりじゃない。こめかみ方向へ少しでも筋肉を持ち上げると、それだけで“美人に見える”というメカニズムがあるのだ。まさに、人の顔の不思議。顔だちというものの構造上、いかなる顔だちも斜め上へ持ち上げるベクトルを作ると、必ず美人のバランスに近づいていくのである。だからたるみなんてなくても、“こめかみリフトアップ”は、それだけで意味のあることなのだ。
そういう事実も踏まえて聞いてほしい。ここにご紹介するのは、文字通り物理的に肌を、顔だちを、引っ張り上げる特殊なテープと特殊なクリップ。まずテープの方は、リハビリメイクで一世を風靡した、かづきれいこさんが開発した“かづき・デザインテープ”。そのものずばり、肌に貼る半透明のテープだが、これが異様に薄く肌と一体化してしまう高次元のもの。ところが使い方はいたって“原始的”で、引き上げたい部分の下側にテープの端を貼ったら、そのままぐいっと肌を肉ごと持ち上げて、もう一方の端を思い切って上側に貼る。物マネ芸人の顔芸の要領。とても単純に、引っ張り上げて貼るだけのリフトアップなのである。
2016.06.06(月)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫