「牧野博士が名づけたといわれるセンダイヤザクラは、『ねりまの名木』に登録されています。開花は3月下旬頃からですが、緑の葉も清々しいですよ」と大木を見上げる佐藤さん。 「朝ドラの影響で注目度が上がっており、お昼くらいだと混み合いますので、開園に合わせて訪れるとゆっくりまわれますよ」と佐藤さん。 正門をくぐってすぐのところで出迎えてくれる雄大な樹木は、ダイオウマツ。 スエコザサに囲まれている牧野博士の胸像。 牧野博士が植栽したとされる樹木には、樹名板にぐるぐる巻きの「の」(「まきの」を意味)のマークが添えられています。 「樹名板には二次元コードがありますのでスマホで読み込んでみましょう。その植物の詳しい解説や情報を見ることができますよ」 入り口でもらえるパンフレットを手にヒメアジサイを探す佐藤さん。 記念館へと続く小道にはアジサイ“なでしこ”が咲いていました。 手まり形の澄んだ青色の花をつけたヒメアジサイ。鎌倉の明月院に植栽されていることでも知られています。 牧野博士が高知県の知人から苗をもらって植え、昭和50年に現在の位置に移植されたセンダイヤザクラ。 高さ約13メートル。花柄にヘラ状の苞があるためヘラノキと命名。秋にはヘラ状の総苞葉が風を受け、飛ぶ様子が見られます。 開花は7月頃。枝先に淡い黄色の花を10個ほどつけ、下向きに開きます。 パネルには見頃の植物の写真と名前、園内のどのエリアにあるのかがわかるように表示されています。 白色で芳香の強いクチナシの花。枝先に1つずつつき、花冠は6裂して開きますが、ときに5裂または7裂することも。 黄金色でシベが長く、華美な雰囲気のビヨウヤナギ。 ドクダミは、茎先の十字形の白い苞の中心に花を咲かせていました。 秋に鮮やかな紫色の実をつけるムラサキシキブの花は、淡い紫色。 ムラサキシキブをじっくり見ると、淡い色彩が美しく、花の形もさまざま。 山野でよく見られるアカメガシワ。薄黄色の小さな花が穂状に集まって咲きます。 白い花をGoogleレンズにかざしてみると、類似する画像結果が表示され、ナンテンを探し出せました。 冬に赤くて丸い実をつけるナンテンですが、初夏に密集した白い小花を咲かせます。 見本園コーナーでアカンサスを下から観察する佐藤さん。 下から見上げたアカンサス。シベの様子がよくわかります。 アカンサスはギリシア語で「トゲ」の意味。和名はハアザミで家紋にも用いられたとか。 みっしりと多彩な植物が並ぶ見本園コーナーの一角。 まっすぐ伸びた茎に涼しげな薄紫色の花をいくつもつけるギボウシ。 上下に開く2枚の唇形の花びらが特徴的なハグロソウ。 見上げると眩しい緑がいっぱい。多種多様な樹木に囲まれての「緑浴」は涼を感じられ、気分も穏やかに。 赤くてかわいらしい実が、なんと葉についているナギイカダ。 ビワが実っていたのは正門近くで、園外からも観賞できます。 エゴノキは、「森のシャンデリア」ともいわれる鈴のような白い花が咲き終わると、少し緑がかった白い実をつけます。 エゴノキの枝先にはバナナのような白い房も。じつはアブラムシが作った虫こぶで、形が猫の足先に似ていることからエゴノネコアシと呼ばれているそう。 マユミの結実の様子。秋には熟して薄紅色になるそう。 新芽が赤く、秋には紅葉するアカシデ。雌花が動物の尾のように垂れ下がっています。 「アカシデの果穂は、ホップの果穂のようにも見えるユニークな形ですよ」 牧野博士が命名したニシキマンサクの実を指差す佐藤さん。 写真左:4月から5月上旬に咲くシロヤマブキ 写真右:ヤマブキの花びらが5枚なのに対し、こちらは4枚。訪れたときには花は終わっていて、4つずつ生る実をつけていました。 3月下旬から4月頃、土に半ば埋もれるように暗紫色の花を咲かせるタマノカンアオイは、濃い緑色の葉をツヤツヤさせていました。 写真左から時計回りにウバユリ、オオキツネノカミソリ、シロバナマンジュシャゲ、ユキワリイチゲ、キンモクセイ。 小道の先に見える記念館。こちらも無料で公開されています。 記念館には、精巧に描かれた植物図やアート作品のような美しい標本が展示されています。 常設展示室には、博士が愛用した植物採集道具がずらり。野山を駆け巡っている博士の姿が目に浮かぶようです。