下北沢駅南口から徒歩5分、カウンター9席の小さい店。日本(ジャパン)のパンミー店なので「ジャパンミー」。 店長のゆきちゃんは、高円寺の老舗定食店「タブチ」が実家。さらに西新宿で豚骨ベースのラーメン店を24年も経営している飲食業一筋の方。 看板メニュー「オリジナル・ジャパンミー」(600円、小サイズ)。好みの太さの麺を選ぶことができ、もちもち食感重視なら中太麺がおすすめ。 卵に注目。普通の卵は温泉卵にすると黄身と白身の間に水の膜ができるが、「ジャパンミー」で使用している田中農場の卵は、膜ができずに、味が濃厚。 右が、麺の上にかかっているサンバル。唐辛子やトマトで作るフルーティーな味で、料理に深みを出す。左が、卓上に常備されているチリフレーク。唐辛子、干し海老、葱などを油で香ばしく炒めたもので、小さじ1/2ほど加えると、額にジワッと汗をかく現地の味に。 具、麺、タレをしっかり混ぜて食べよう。具が残ったら追いご飯(無料)がおすすめ。ちなみにこの食べ方は、ご飯とサンバルを合わせるマレーシアの国民食「ナシレマッ」をイメージしたもの。 朝7時に取材に伺ったところ、週4の頻度で通っている常連客がおいしそうにパンミーをすすっていた。 開店前に仕込みスタート。粉に水分をふくませて少しやすませたら、機械でこねて8時間ねかせる。それから板状にカットした状態で、さらに一晩。丸2日かけて完成した麺は冷蔵保存し、長くても3日で使い切る。温度や湿度の影響を大きく受けるため、気候が安定しない時期は品質管理にかなり神経を使う。 圧延機(左奥)は、ゆきちゃんが親戚から譲り受けた年代物。最新のものよりパワーは劣るが、「柔らかいパワーでこねたほうが、おいしい麺になるんです。漫画『美味しんぼ』で、おばあちゃんが作るうどんがおいしいと山岡さん(主人公)が話していて、それと同じですよ」とゆきちゃん。 「麻辣パンミー」(600円、小)。甘辛に炒めた豚そぼろに、もやし、小ネギと野菜もたっぷり。山椒とホアジャオで香り豊かに仕上げる。 選んだ麺は、一番太い薄平打ち麺。幅は2センチほどあるが、雲吞の皮のように薄いので、軽い食感。つるつる滑らかな舌触りが上品で、豚肉のジューシーさと山椒の香りが際立つ。 「ワンタンミー」(700円)。自家製の極細麺をオイスターソースなどで炒めたもの。ワンタンスープ付き。 持ち帰り用の「ジャパンミー」(700円)も人気。具、タレ、温泉卵が分かれてパックされているので、食べる直前に混ぜてどうぞ。 人生で初めてパスポートを取って渡航したマレーシア。そこで食べたチリパンミーにほれて、日々研究を重ねるゆきちゃん。味の再現力がすごいです! と伝えると、「画家が風景を見て家で絵を描くように、食べた味を店で再現するのが僕たち料理人ですから」と笑う。