さだまさしは追い詰められてパワーが増すタイプ?
会場はぎっしり満員である。さださんを数十年単位で応援している筋金入りのファンの方も多く、年齢層は比較的高め。そのため、基本は座って聴くスタイルなのだが、皆さんおっとり静かなのかと言われれば全くそうではない。
幕が上がり、さださんが登場すると、会場のボルテージ、いや、ボルテージというより生命力がガッと上がるのがわかる。しかも今回は1曲目からアップテンポな「長崎小夜曲」が流れたものだから、立ってペンライトを振っているお客様もいる! 「さださーん!」「まっさーん!」という声が飛ぶ! クッ楽しい。予想以上にアグレッシブーッ!!
今回は、5月13日に発売されたばかりのオリジナルアルバム「神さまの言うとおり」を引っ提げてのツアーだ。このアルバム制作が、そりゃもうとんでもなく大変で、元旦の時点では、1曲も完成していなかったのだという……。ひー(震)! 焦り&ビビりな私は想像しただけで卒倒しそう。その頃のさださんのインスタを遡ってみると、どれも穏やかな笑みを浮かべておられる。実際頭の中は「アルバムどうしようどうしよう(汗)」状態だったのか……と思うと、なんとも趣深い。
しかも、いざ出来上がったら名盤。どの曲も本当に素晴らしいのだ。さださんはグレープ時代、一晩で6曲を書いたという逸話もあるし、追い詰められてパワーが増すタイプなのかもしれない。
苛立ち言葉のご参考に!?「身も蓋もない BOOGIE-WOOGIE」
収録曲の中でも、特に「身も蓋もない BOOGIE-WOOGIE」は、1番の歌詞は褒め言葉、2番は身も蓋もない本音のオンパレードで構成されている。
コンサートでも披露されていたが、言葉がスーパーボールみたいに跳ねている感じで躍動感がハンパない!
さださん曰く、2番の言葉は、昨今SNSでよく流れる「クソ」という言葉に憤慨し、そんな汚い言葉など使わずとも、苛立ちの言葉の種類はこんなにある! と挙げていったそうだ。その勢いたるや、リズムは早いし言葉数は多い、そんじょそこらのラッパーにも負けていない! いやもう74歳でこの体力とこの気力はすごい。
MCも「黙ったら死ぬ」くらいの勢いでよく話される。トークアルバム「歌ってはいけないCD」まで出されているほど、話術の巧みさは有名なのだが、生で聴くと圧倒される。ツアーのこぼれ話や最近の日本について、おすすめの作家、大ヒット曲「雨やどり」の重要ポイントなど、スラッスラとユーモアたっぷり、よどみなく話される。私など、50代で既に固有名詞がほぼ出ず、話が「あれがあれでそれ」状態なのに!
あの恐ろしいまでのトーク力、どこか国家機密的な特別組織で訓練を受けているのだろうか。ヒントを探しにインスタを見ると、私が参戦した大阪フェスティバルホール1日目が、4761回目(!)のコンサートであることを知った。
なるほど。その回数を見て、私は胸がいっぱいになった。さださんの話術は持って生まれた資質に加え、「5000回近いステージ」という、想像を絶する経験が合わさった賜物なのだ。
