豊かな森に抱かれた鹿島神宮へ

 そしていよいよ鹿島神宮へ。鹿嶋市は鹿島臨海工業地帯を擁する人口6万3千人の工業都市だが、現地を訪れると、鹿島神宮の門前に商店が並び、そばに駅、市役所があり、町の中心がまぎれもなく鹿島神宮だということを実感させられる。東京ドーム15個分の広さの境内は、樹齢の長さを感じさせるモミ、スギなどの大木で囲まれ、まるで木々の要塞のような印象だ。800種の植物が生育する常緑照葉樹林は「鹿島神宮樹叢」として、県の天然記念物に指定されている。

 2011年の東日本大震災で倒壊した後に境内の杉四本で再建された大鳥居をくぐり、日本三大楼門に数えられる楼門を経て本殿に進むと、すでに50メートルほど参拝客が並んでいた。鹿島神宮の御祭神は武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)。武神として知られ、皇室だけでなく、武家からの信仰を広く集めた。社殿は徳川幕府の二代将軍・徳川秀忠が奉納している。

 石畳の参道は本殿までで終わり、その先の奥参道から土の道となる。前夜までの雨にもかかわらず水たまりはほとんどなく、歩きやすい程度に締まっていた。木々の密度も濃くなり、水を吸い込んだ樹木が放つ湿った空気で、深い森を歩いているような気持ちにさせられる。

 すぐに左手に鹿園が現れ、柵の中で寛いでいる鹿の姿が見えた。鹿島神宮では神使として約20頭の鹿が飼われているのだ。なお、奈良の春日大社も神使は鹿だが、これは奈良時代に春日大社が創建される際、鹿島神宮から武甕槌大神の分霊を白い神鹿の背に乗せて運んだことに由来し、現在の奈良公園の鹿の祖先はこの鹿島神宮の鹿とも言われている。

 さらに進むと右手に奥宮が見えてきた。この社殿は徳川家康が奉納したもので、もともとの本殿だった。現在の本殿よりも小ぶりで質素な印象だが、その素朴さがむしろ霊験を感じさせる。

鹿島神宮

所在地 茨城県鹿嶋市宮中2306−1
https://kashimajingu.jp/

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