「卒業前に1回くらい、確認しとこうかなって」
O先輩は口をモグモグと動かしながら、少しだけ考えるように視線を天井へ向けました。
「そういやあんとき話してなかったか……結構な不良だったOBの先輩から聞いたんよ。その人もまた先輩から伝え聞いていたらしいけど。山奥にあるっつー誰かの私有地でさ、そこがヤバイらしいんだわ。皆『あそこはヤベー』つってろくに近づかなかったみたいで、それ聞いて当時の俺らもビビっちゃって行けなかったんだよ」
「……なんかあったんすか、事件とか」
「特にそれらしい事件はないみたいなんだけどさ。みんな詳細話してくれねぇんだよ」
「え?」
「な、気になるだろ?」
そう言って、O先輩は食べ終わったフランクフルトの棒を紙ごと丸め、ゴミ箱に放り投げました。
「だからさ。卒業前に1回くらい、確認しとこうかなって」
「確認……?」
「何を目撃したのかだよ。それにさ、“アイスの森”なんつー変な名前の由来も気になるじゃん」
徐々に湧いてきた好奇心。O先輩は2人の心のざわめきを見逃しませんでした。
「お、それは興味出てきた目だな。よし、面白そうだから今から行くか!」
「え、マジで言ってんすか」
「マジ」
こうして、Tさんたちはその日の夕方に“アイスの森”に実際に足を運ぶことになったのです。
» (後篇に続く)
